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年頭のあいさつ

  年頭のあいさつ~災い転じて福としたい、この1年~  

大和場長 
国立競技場長
大和 一光

 新年あけましておめでとうございます。

 昨年は、あいにく災害の多い暗く厳しい年となってしまいました。東日本大震災については、その後、被災地の方々の粘り強い御努力により、産業や市民生活は徐々に復興・安定の道が開け、明るい話題も多く目につくようになりましたが、原発、除染対策については先が見えません。

 経済面でも歴史始まって以来の円高が進み、追い打ちをかけるようにタイの洪水による工場等の機能マヒで、輸出企業は大きな打撃を受けました。

 国立競技場においても、施設の損傷、余震、計画停電、原発などの影響や主催団体の判断により、3月末に予定していた国際サッカー、代々木競技場でのフィギュア世界選手権などビッグゲームが相次いで中止となり、選手、ファンの皆様の気持ちは察するに余りあるものとなってしまいました。その後も本格的な事業再開までには多くの課題があり、利用者の皆様にご迷惑をおかけしたことを、紙面を借りてお詫び申し上げます。

 一方で、スポーツ界においては、明るい話題がたくさんあった年でした。

 何といっても、「なでしこ」の女子サッカーワールドカップ優勝は「あきらめない日本」の象徴であり、重苦しい空気が漂っていた日本を元気にしてくれました。また、柔道、レスリング、バレーボール、フィギュアなど、引き続き女子選手の活躍が目立った年でありました。

 中高年者のスポーツ活動は、山や海に拡大し、若い世代においては女性を中心にランニング熱がさらに高まり、国立競技場においても夜を徹してトラックや回廊を走るナイトランなど多くのランニングイベントが開催されました。

 また、「スポーツ基本法」が、8月に施行されました。前文に、「スポーツは、世界共通の人類の文化である。…スポーツを通じて幸福で豊かな生活を営むことは、すべての人々の権利…」と謳い、本則には、スポーツの基本理念を定め、スポーツ立国の実現を目指し、国家戦略として、スポーツに関する施策を総合的かつ計画的に推進することを明記しています。50年間のゆがみを修正し、未来に向かっての我が国のスポーツの指針を示したこの「新法」は、スポーツ界が待ち望んでいたもので、その具体的な取り組みについては、今年度末までに策定される予定の「スポーツ基本計画」に期待したいと思います。

 特に、スポーツ振興を生業としている私共としては、国民の「スポーツ権」の設定により大きな義務を負ったことになりますが、反面、義務を履行するためのよりどころを手に入れたことにもなります。

 この「新法」に基づき、本法人が取り組むべき課題は山積していますが、その中で国立競技場が喫緊に手がけなければならないのは、その整備でしょう。

 建設から53年が経過し、老朽化が進んでいます。幸い、あの東日本大震災が発生した時は、国の御理解の下に予算措置を受けて実施していた緊急の安全対策工事がほぼ終了しつつある段階で事なきを得ました。しかし、利用団体からは、ホスピタリティ、メディア対応機能、利用者サービスヤードの不足等で超国際レベルの競技会を開催するには困難が伴うといわれています。一方で、ラグビーワールドカップ2019日本大会成功議員連盟は、昨年2月の総会において「8万人規模のスタジアム」を決議しており、さらに、2020年東京五輪招致に向けての期待があります。

 国立競技場の整備は、「新法」にある国際競技大会の招致・開催においては極めて重要な要素であり、都心にありJR2駅、地下鉄2駅からいずれも徒歩10分以内でアクセスできる環境は類がなく、社会資本の整備充実として理解していただくことができれば幸いだと思います。

 さて、今年は待ちに待った五輪年です。7月27日から開催されるロンドン五輪は、4年間の競技スポーツ界の集大成であると同時に、来年9月のIOC総会での「2020年東京五輪招致」の決定に向けて弾みとなる国民の夢と感動を呼ぶ結果を残すことができるか、正念場ともなります。かたずを飲んでの観戦となりましょう。

 おかげさまで、toto、BIGの販売は、震災や経済の不調にもかかわらず目標を達成した模様です。その助成は、引き続き我が国のスポーツ振興のお役に立ち、未来を育てるスポーツの原動力となることが期待されます。

 いずれにしても、この一年が我が国のスポーツ界において、「新法」の下に、新しい第一歩となるように期待し、昨年の災いを転じて福となせるような明るい年にしたいと思います。

 

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