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2012年ロンドンオリンピック通信

  2012年 ロンドンオリンピック通信 日本スポーツ振興センター ロンドン事務所

1.ロンドンオリンピックについて

 

オリンピックスタジアム(完成後)

 ロンドンオリンピックは夏季オリンピックとして30回目を記念する大会で、2012年7月27日から8月12日の期間で開催されます。ロンドンオリンピックは、英国におけるスポーツの発展、持続可能なレガシーの造成を目指すと同時に、ロンドン東部のストラトフォード駅周辺の再開発が目的の一つとして掲げられています。

 

 ストラトフォード駅周辺には、メイン会場となるオリンピックスタジアムだけでなく水泳会場やメディアセンター、そして選手村も建設されます。それら一帯はオリンピックパークと呼ばれ、ロンドンオリンピックの中心的役割を担います。

 

 今回は、その中でも2011年3月29日に完成したオリンピックスタジアムについて紹介したいと思います。

2.オリンピックスタジアムについて

 

 オリンピックスタジアムでは、開会・閉会式と陸上競技が行われ、オリンピックのシンボルとなる存在です。

 

(1)建設の歴史

 

 ロンドンオリンピックの招致が成功を受け、オリンピックスタジアムを含む各種の会場や交通などのインフラ整備を担当するオリンピック開発公社(ODA)が設立されました。

 

 オリンピック開発公社は2007年1月にオリンピックスタジアムの建設に関わる建設業者等約240社を選定し、2008年5月にオリンピックスタジアムの建設を開始しました。竣工までに約3年を要し、作業に関わった人数は5千人以上と言われています。

 

 2011年3月29日にロンドンオリンピック組織委員会(LOCOG)のコー委員長が、完成予定日としていた期日までに、予算の範囲内で無事に完成したと発表しました。一部未完成の芝生及び陸上トラックは今後プレ大会そしてオリンピック本番に向けて整備される予定です。

 

(2)後利用

 

 オリンピック後のオリンピックパークの後利用について企画・立案を担当する組織として、ロンドンオリンピック組織委員会やオリンピック開発公社とは別に、オリンピックパークレガシー社(OPLC)が設立されました。オリンピックパークレガシー社は、オリンピックスタジアムの後利用に関する公募を行い、応札団体の中から優れた団体を選定し、ロンドン市と政府に推薦する役割を担っています。

 

 オリンピックスタジアムについては、最終的に英国プロサッカー・プレミアリーグのウェストハム・ユナイテッドとトットナム・ホットスパーズの一騎打ちとなりました。ウェストハム・ユナイテッドはオリンピックスタジアムの陸上トラックを維持し、英国陸上連盟(UK Athletics)と連携の上、サッカーと陸上が共存できるスタジアムとして利用する案を提出。対するトットナム・ホットスバーズは陸上トラックを撤去し、サッカー専用スタジアムとして利用、その代替措置として、ロンドン南部にあるクリスタルパレス陸上競技場を国際大会が行える陸上会場としてグレードアップするという案を出しました。その様子は、英国及び欧州で人気の高いプレミアリーグチーム同士の戦いという点で関心を集め、メディアでも連日大きく取り上げられました。

 

 当初よりロンドンオリンピック組織委員会は持続可能なレガシーとして、今後陸上の国際大会を誘致できるスタジアムが必要と訴えてきた経緯もあり、2011年2月10日にオリンピックレガシー社はウェストハム・ユナイテッドを第一候補とすることを発表し、3月3日に政府とロンドン市にも後利用の団体として正式に認可されました。

3.最後に

 

 ロンドンオリンピックを契機に世界的なスタジアムへと変貌を遂げたオリンピックスタジアムは、ロンドンオリンピックのシンボルです。数々の名勝負がここで繰り広げられる様子はまさにスペクタクルそのものでしょう。本番の結果もさることながら、今後このスタジアムがオリンピックレガシーをどのように受け継ぎ、活用されていくのか、それも楽しみの一つになるのではないでしょうか。

 

 

味の素ナショナルトレーニングセンター宿泊施設(以下「アスリートヴィレッジ」という。)増築その他工事が、2011年3月31日に完成し、5月1日から南館として新たに供用を開始しました。以下にアスリートヴィレッジ南館の概要を御紹介します。

 

 

1 施設概要(南館)

 

発注者:文部科学省大臣官房文教施設企画部

設計者:株式会社石本建築事務所

監理者:株式会社石本建築事務所

施工者:株式会社飛島建設 (建築工事)
浅海電気株式会社 (電気設備工事)
三建設備工業株式会社 (空調設備工業)
大成設備株式会社 (衛生設備工事)




 

2 施設紹介

 今回増築されたアスリートヴィレッジ南館は、既存宿泊施設の南側に位置し、既存施設との連携が図れるようになっています。

 宿泊室は、大きく分けて3つのタイプに分けられ、①トップアスリート用宿泊室1タイプ(シングル99室:内6室がバリアフリー対応、ツイン15室:全てバリアフリー対応)、②エリートアカデミー生用の宿泊室2タイプ(4人部屋12室、個室9室)、③エリートアカデミーコーチ用の宿泊室3タイプ(シングル3室)、と寮母室(シングル1室)があります。

 各階別区分では、1階は共用諸室として和室の休憩室(にしきむすび)、寮母室、エリートアカデミー生用玄関、宿泊者用エレベーターホール、ドーピング検査室等があります。2階は、エリートアカデミー生宿泊エリア、エリートアカデミーコーチの宿泊室とトップアスリート用宿泊室があります。また、3階部分にはエリートアカデミー生宿泊エリアが、4階から7階には、トップアスリート用宿泊室があります。特に4階には、バリアフリー対応の部屋があり、車椅子利用も可能となっています。

 その他共通利用ができる場所として各階にリビングルーム、マッサージルーム、ランドリー室があります。

 食堂(SAKURA DINING)は、既存部分から区切りなく増築したので、150㎡ほど食堂面積が広くなりました。また、南側に大きな開口部やトップライト、吹き抜けを設け、自然光を取り入れ、明るい空間を演出しています。

 

3 設備について

 

 電気幹線経路は、既存電気室から分岐し、敷地東側より南側を経由して、設備棟4階の電気室まで引き込みました。

 電気設備は、快適な宿泊室環境の提供や地球環境への配慮、そして維持管理の容易さへの配慮を基本的に考え、地球温暖化防止対策を講じた、太陽光発電設備(ソーラーパネル)を南館に30枚(約5・70KW)、設備棟に48枚(約9・12KW)を屋上に設置し、可能な限り自然エネルギーの有効利用に配慮しました。また、電灯設備は、省エネルギーやメンテナンスの利便性を考慮して、器具を高効率型の蛍光灯・LED灯を使用しています。また制御としては、照度補正、人感センサー及びカードキースイッチにより消費電力の制御を行います。

 空調設備は、利用者の要望する環境になるように、各宿泊室を自由に冷暖房できるシステムとしています。省エネルギー対策としては、高効率の水熱源ヒートポンプユニット方式を採用しました。

 衛生設備は、既存給水管から分岐し、南館専用の受水槽を設け、加圧ポンプによる給水を行っています。排水設備は、屋内分流方式で、汚水と雑排水を屋外で合流させ、既存排水経路を利用し、下水道に排水しています。給湯設備は、中央循環方式で屋上に設置したガス焚温水発生機で宿泊室及び共用の洗面等に供給しています。また、自然エネルギーの有効活用として、太陽熱集熱器を屋上に設置し、給湯の補助的な役割を果たしています。

 消火設備は、全室にスプリンクラー設備及び3階以上に連結送水管を設置しています。

 このようにバリアフリー対応、エリートアカデミー生専用エリア、日帰りの施設利用者の使用を視野に入れた和室休憩室等、既存施設にはない部屋が増え、またアスリート宿泊室が増えたことにより、国立スポーツ科学センター、ナショナルトレーニングセンターの利用者が増え、国際大会でのさらなる活躍が期待できるでしょう。

 

資料1 建物概要
No 項  目 概    要
主要用途 宿泊施設
住所 東京都北区西が丘3丁目9番14号
敷地面積 10,0676.13㎡
建築面積 *注1:1,382.27㎡(*注2:4,799.77㎡)
延べ面積 *注3:6,624.57㎡(*注2:18,670.05㎡)
用途地域等 第二種住居地域、準防火地域、第三種高度地区
建蔽率・容積率 70%・300%
規模・構造 南 館:地上7階(鉄筋コンクリート造)
設備棟:地下1階、地上4階
(一部鉄骨鉄筋コンクリート造、鉄骨造)
最高高さ 31.4m
宿泊者数 205名(旅館業法申請人数)

注1:建築面積の内訳(南館1,235.23㎡+設備棟147.04㎡)
注2:敷地内全施設の面積を示す。
注3:延べ面積の内訳(南館5,968.63㎡+設備棟655.94㎡)

 

食堂内に自然光が入り、
明るい空間になるようにしました。



増築したアスリートヴィレッジ南館
  味の素ナショナルトレーニングセンター
アスリートヴィレッジ南館完成 

 

 

 

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