ホーム > 刊行物 > 「国立競技場」2011 > スポーツ施設の安全管理 ~第5回~ 「質の高い活動・サービスの提供」

スポーツ施設の安全管理 ~第5回~ 「質の高い活動・サービスの提供」

  スポーツ施設の安全管理
~第5回~
「質の高い活動・サービスの提供」
瀬戸口 祐剛
セノー株式会社 営業本部・企画部・企画課長
財団法人 日本体育施設協会  
スポーツ施設研究所 専門委員

 スポーツ施設の安全管理において、前号(第2回「事故防止のポイント」)でも触れていますが、質の高い活動やサービスの提供を行うためには、常に課題解決のための改善活動に取り組む必要があります。利用者アンケートや内部や外部評価などに基づいて改善を実施し、その成果を評価し、更に次につなげるという継続的な業務改善活動(PDCA サイクル)という手法があります。

(1) Plan(計画):利用者の視点で考え、質の高いサービスを目指す安全が担保され安心して利用出来るために、利用者は何を望んでいるか、現状をどう評価しているか、また、利用者満足度を向上させるために何をすべきかを考え、目的意識を持ったサービスの提供を計画します。

(2) Do(実施):経営資源(ヒト・モノ・カネ)を有効に活用し、中長期計画に沿って実施するコスト意識を重視し、効率的・効果的に計画を実施します。適正に施設管理費等の配分を図ります。(安全に関する講習会への参加や専門的な資格を持ったスタッフの配置、AED や安全対策器具の設置など)

(3) Check(評価):計画に沿っているか成果を検証する利用者アンケートや施設独自評価方法などに基づいて、目標とした成果が得られたかを検証します。
 また起案書に課題がなかったかも評価します。(定期訓練の実施状況、応急備品の欠品や保管状況の確認、物品の保護状況、災害時の外国語による緊急放送、緊急連絡網の作動の確認、近隣救急病院の受け入れ等の連携が取れたかなど)

(4) Act(改善):計画に対する検証の成果を継続的に改善する完全であるはずの内容でも改善を要する場合もあります。取組み結果を改善サイクルに結びつけてより安全管理を向上させます。(ヒヤリハット活動の反映など)

 また、ハインリッヒの法則にあるように、一件の重大な事故・災害があれば、29件の軽度の事故・災害、そして300件のヒヤリハット(事故には至らなかったがヒヤリとした、ハッとしたこと)がその後ろに潜んでいると言われています。

 そのため、ヒヤリハットを見逃さないことが重大な事故を防ぐ要因となるため、各業界で実施されています。ヒヤリハットに的確に対応するには、なぜそれが起こったのかという要因分析を行い対処することで、事故の発生を最小限に抑え、また事故の被害を小さくします。

 スポーツ施設の安全を確保し安心して利用してもらうために、その施設・設備の形状や特徴を踏まえた適切なルールや制限を定め、事前の打合せやユニバーサルデザインを導入した案内板等で利用上の協力を求めることも必要になります。

 また、職員だけでなく、清掃設備、警備、外溝植栽管理の全スタッフの教育はもちろんのこと、利用者にも救命救急講習会や熱中症予防講習会に参加の場を設け、安全管理に関する意識を高める事業を積極的に実施することで、より安全・安心である施設づくりが可能となります。

 管理者だけでの安全対策だけでは限界がありますので、自治体や関連団体及び個人利用者と一体となって安全管理に努めることが、効率的でしかも効果的な対策であると考えます。

 また、安全に関する機械・器具も日々向上していますので、常にPDCAサイクルに基づき改良・改善することが望まれます。二重三重にも対策は必要です。

(次回は「法的対処法など」についてです。) 

 

ページトップへ