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スポーツ施設の安全管理 ~第4回~「スポーツ施設用器具の維持管理」

瀬戸口 祐剛
セノー株式会社 営業本部・企画部・企画課長
財団法人 日本体育施設協会  
スポーツ施設研究所 専門委員

 スポーツ施設用器具を良好に維持させるためには、日常点検はもちろんのこと、定期的な保守点検をお勧めします。保守点検の目的として、施設や器具を最良の状態に保つ、器具を長持ちさせる、美観を保つ、施設特性に合致した機器や器具の配置計画の参考となる等が挙げられますが、最大の目的は利用者の安全確保を第一と考え、安心して活動出来る環境を整えるための予防保全(事故防止)にあります。

・少しでも異状のあるものは絶対に使わない。
・本来の使い方以外はしない。
・正しい使い方をする。
・ルールに合致したものを使う。

 施設や器具の管理および使用については、前述の注意点を遵守することで事故防止につながるほか、万が一の際の予後対策にもつながります。

 余談ですが、昨今のグローバル化の影響で、日本語の理解が乏しい外国人へ、安全な利用方法を説明する英語・韓国語・中国語・ポルトガル語などの外国語標記や、弁識能力に乏しい子ども(12歳以下)や高齢者が理解しやすいユニバーサルデザインも併せて求められています。

(1)保守点検のポイント

 施設や用器具の異状については、早期対応が重要となります。一人ではなく複数人数で点検を行うことによって、一人では見落としがちな点までチェックすることができるため、ヒヤリハット等による早期発見・早期原因究明・早期予算化・早期修理につなげることができます。

 保守点検を行う際には、チェックリストを作成し、確認すべき項目(耐久性のある箇所と消耗品の部分など)をあらかじめ洗い出しておくこと、点検結果を記録(データ化)し履歴を管理・活用し予算化することで、確実で高度な点検を行うことが可能となります。

 また、日常的な点検とは別に、年に1度は専門業者に定期点検を依頼し、短・中期修繕計画を含めた報告書を提出させ実行することで、さらに安全性を高めることができます。

(2)保守点検の方法

・目視…正しく設置されているか、不足部品などがないか確認すると同時に、破損、変形、劣化などを調べる。
・打音…ハンマーで叩いて音を聞き、破損、亀裂、腐食などを調べる。
・振動…揺り動かすことにより、ぐらつきや安定度を調べる。
・負荷…重量をかける、押す、引く、捻るなどの負荷をかけて充分な強度があるかを調べる。
・作動…動く部分については、回転、開閉、上下、左右、前後などが潤滑に作動するかを調べる。

(3)点検用チェックリストの作成

 スポーツ器具の正しい使い方と安全点検の手引きをご参照頂くと、用器具の点検用チェックリストの作成が容易に行えます。

「スポーツ器具の正しい使い方と安全点検の手引き」(財)日本体育施設協会施設用器具部会発行(発売元:株式会社体育施設出版)

掲載品目=学校体育、社会体育で一般的に使用されているスポーツ器具190品目。
内容=品名、姿見、部分名称、点検の難易度、誤使用の危険度、正しい使い方、点検箇所、点検内容、点検時期、耐用年数、維持管理の方法。

(4)一般的な保守点検の方法

 保守点検整備は、対象によって方法が異なります。対象となる用器具の材料やその特徴によって、最適な方法で点検整備を行う必要があります。 例)金属製品の保守点検整備

○ほこりは化学雑巾で拭き取り、手垢などの汚れは水を固く絞ったタオルに中性洗剤をつけて拭く。
○摩耗する部分は常に注油しておく。
○錆が出はじめたら、目の細かいサンドペーパーで軽くこすって錆を除き、塗装してあるものは同色の塗料で塗る。自動車用ワックスで日頃から軽くワックスをかけておく心がけが必要。
○メッキは錆びたり剥離したりすることがある。目の細かいサンドペーパーで軽くこすり錆を除くか、市販の錆とり剤を使用する。日頃のワックス掛けが必要。

(5)専門業者によるメンテナンス

・日常点検と定期点検
・高所取付け物とハイテク製品(OA機器搭載型電気製品)
・施設点検例

 公共=移動式バスケット台、防球ネット、体操競技器具、競技支柱、卓球台、審判台、得点板、床金具

 「少しくらい利用させても大丈夫だろう」や「今回だけ」などと騙しだまし利用させることが、重大な事故を発生させます。致命的な故障・障害がある場合は利用を制限する決断も必要です。

(次回は「質の高い活動・サービスの提供」についてです。)


 

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