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スポーツにおけるけが予防 第4回 スポーツ時の救命処置について

  スポーツにおけるけが予防 第4回 スポーツ時の救命処置について  

株式会社東京ドームスポーツ 堀 裕一
現在、国立霞ヶ丘競技場(体育館、水泳場、トレーニングセンター)統括マネージャー




 救命処置は、大きく分けてBLS(一次救命処置)とACLS(二次救命処置)の二つに分けられます。
  • BLS(Basic Life Support)とは、特殊な器具や医薬品を使わずに行う心肺蘇生法のことで、一次救命処置とも呼ばれています。
  • ACLS(Advanced Cardiac Life Support)とは、医師や救命救急士による高度な蘇生処置を行うことで、二次救命処置とも呼ばれています。
 今回は、救急車が到着するまでに行うBLSについてお話ししたいと思います。

 スポーツ時の不慮の死亡事故の原因の多くが、心室細動と考えられているそうです。心室細動とは、心臓がブルブル震えて不整脈となり、血液を全身に送ることができない状態に陥ることです。更に、これにより意識不明に陥り、放置すると死に至るそうです。
 心室細動が原因と考えられる突然死のうち、通常の健康診断では何も異常がなかった人が9割を占めているそうです。ということは、健康な人がスポーツ時、いつ心室細動になってもおかしくないということになります。
 もし、スポーツ時に突然心室細動と思われる傷病者に遭遇したら、我々はどのように対処すれば良いのでしょう?

 答えは、CPR(心肺蘇生法)を行い、AED(自動体外式除細動器)を使用することが最善と言われています。
  • CPR(Cardio Pulmonary Resuscitation)とは、呼吸が止まり、心停止も考えられる人に対して、生命を維持するために行う心肺蘇生法のことです。
  • AED(Automated External Defibrillator)とは、心室細動を起こしている人に強い電流を流して心臓を正常に戻す機能を持った小型の器械です。

 それでは、CPR・AEDを駆使したBLSの流れを簡単に説明いたします。

 

1.まず肩を叩いて、声を掛けます(意識を確認します)。

2.反応がなければ、すぐに助けを呼びます(近くの人に119番通報をお願いして、AEDを持ってくるよう頼んで下さい)。

3.気道確保をして呼吸を確認します。

4.呼吸をしていなければ、人工呼吸を2回行います(感染防護具がない場合省略可)。

5.胸骨圧迫30回(100回/分)・人工呼吸2回を繰り返し行います(AEDが到着するまで休まずに行います)。

6.AEDが到着したら、電源を入れ、傷病者の上半身を裸にして電極パッドを装着します(ぬれている間は、体を拭いてから装着します)。

7.AEDの音声の指示に従います。

8.電気ショックが必要と指示があったら、ボタンを押して、電気ショックを掛けてください(傷病者の体に触らないようにします)。電気ショックの指示がない場合は、直ちに胸骨圧迫と人工呼吸を再開します。

9.電気ショックをかけたら、AEDの電極パッドを貼ったまま、すぐに胸骨圧迫・人工呼吸を再開してください。

10.2分後に、自動的にAEDによる心電図の解析が行われ、再度電気ショックをかけるかどうか判断し、指示します。

11.傷病者の意識が戻ったら、楽な体勢にして、救急車の到着を待ちます(AEDの電極パッドは貼ったままにしておきます)。傷病者の意識が戻らなければ、引き続き胸骨圧迫・人工呼吸を繰り返し、救急車の到着を待ちます。

 

 このような、BLSの流れが頭に入っていれば、救命できる可能性が高くなると思われます。特に胸骨圧迫は、動かない心臓に代わってポンプの役割を果たし、全身の臓器が酸素不足にならないようにする重要な救命方法だと言われています。皆さまがもし、意識のない傷病者に遭遇したら、勇気を持って一刻も早くBLSを行うようにしましょう。

 以上、スポーツ時の救命処置の参考になれば幸いです。

 

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