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「平成2 1年度第7 回 主要スタジアム情報交換会」報告

  「平成2 1年度第7 回 主要スタジアム情報交換会」報告  
主要スタジアム情報交換会

 国立競技場では、スタジアムにおけるより良いグラウンドコンディションの維持や施設の管理運営の方策について情報交換を行う場として、また、国内スタジアム間の連携を一層強めることを目的として、主要スタジアム情報交換会を年1回開催しています。第7回となる今年度は、2010年1月25日(月)・26日(火)に開催し、全国より47施設125名が参加しました。

1日目


■基調講演(佐々木一樹氏 (社)日本プロッカーリーグ常務理事)


基調講演・佐々木一樹氏((社)日本プロサッカーリーグ常務理事)
基調講演・佐々木一樹氏((社)日本プロサッカーリーグ常務理事)
 今年の基調講演は、『この国が必要とするこれからのスタジアム』と題し、全国のスタジアムを利用している立場から、現状のスタジアムが抱える課題や今後目指すべきスタジアムのあるべき姿について、Jリーグの佐々木一樹氏からお話しいただきました。
 現在の日本のスタジアムの多くが抱える施設の老朽化の問題、時代に対応した設備が不十分であることなど、設備の充実に対する利用者としての要望とともに、(財)日本サッカー協会が検討している新しいスタジアム基準の概要なども説明いただきました。
 また、海外の先進事例では、スタジアム周辺にホテル、ショッピングセンター、教育施設など様々な施設を一体的に整備している複合施設が多くあり、今後のスタジアム整備をまちづくりの一環として捉える視点も重要であることが分かりました。先進事例を目標としつつ、「海外の施設にできて日本でできないはずはない」という佐々木氏の言葉に、参加されたスタジアム関係者の皆さんも、より快適なスタジアムを目指して、心を新たにしていた様子でした。

■第一分科会 (スポーツターフ部門)

 
 スポーツターフの維持管理に関する問題を考察する第一分科会では、北日本にある2施設から芝生維持管理の取り組み事例と、国立競技場から芝生管理の変遷について発表がありました。

〈事例発表〉

① 東北電力ビッグスワンスタジアム
テーマ『芝生保護材を活用した〝スポーツ"と〝文化イベント"の両立』

 2006・2007年度のコンサートにおける芝養生方法(コアマット・テラプラス)や、昨年行われた国体の開・閉会式、障害者スポーツ大会においてトリカルネットがどのように使用されたのかという事例を中心に発表が行われました。テラプラスだけでの芝生養生については、多くの参加者が既に使用したことがあると思われますが、更に養生の効果を上げるためにその下に敷き込むコアマットについては、初めて聞いた参加者が多かったのではないでしょうか。また、トリカルネットの使用についても、必要に迫られた中での新たな発想として大変参考になったと、参加者からも意見が寄せられていました。

② 日本体育施設(株)
テーマ『ユアテックスタジアム仙台における改修工事の概要と芝生維持管理の取り組み』

 1997年に開場し、2009年に改修に至った経緯や改修工事の概要、そして改修後のイベント対応日常における維持管理の工夫(屋根による日陰部分に対するアンダーヒーティング、ジェットヒーターの活用や、散水の均一化、それぞれの場所による散水量の設定が可能となったピッチ内埋設式の小型スプリンクラー= 10ブロック60基)といった、今後の課題についてなどの事例が発表されました。
 来シーズンからJ1、ベガルタ仙台のホームスタジアムとして、様々な改善を取り入れ改修されたスタジアム。そのピッチが、今後どのように維持管理されて行くのかを見て行く上で、大変参考になりました。

③ 国立競技場
テーマ『国立競技場における芝管理の歩み~いかにして芝は変わったか~』

 定年退職を目前に控えた国立競技場 鈴木憲美技術主幹が、これまで携わってきた、国立競技場における芝生維持管理の変遷を、その時々のエピソードを織り交ぜながら発表しました。特に、冬枯れした芝生着色ウィンターオーバーシードへの詳細は、これまで周囲の者ですら聞いたことがないようなものもあり、の経緯等については、この会議の参加者にとっても国立競技場関係者にとっても貴重な発表となったのではないかと思います。

国立競技場(ウィンターオーバーシードの導入前)国立競技場(ウィンターオーバーシードの導入後)
国立競技場(ウィンターオーバーシードの導入前・導入後)

■第二分科会 (管理運営部門A・B)


第二分科会より
第二分科会より
A:大規模施設

〈事例発表〉

① 熊本県スポーツ振興事業団
テーマ 『熊本県民総合運動公園における施設管理と事業』

 シャトルバス、パーク&バスライドなどの交通対策によるAFCアジアカップ2011予選の成功例や、職員が研修を受けて資格を取得し、能力を向上させることにより、職員の手による施設管理と臨機応変な事業展開が可能となっている実例をいくつか挙げて紹介いただきました。特に、職員自らの芝管理による経費削減や指導者派遣事業などは、参加者の方々の関心を呼んでいました。

② 国立競技場
テーマ 『国立競技場の大規模イベントについて』

 国立競技場からは、2009年に行われた大規模イベントをDVD映像にまとめて発表を行いました。その後、コンサート時のテラプラス等による芝生への影響や騒音の問題、またスタジアム主催イベントについて、質問や意見が交わされました。

B:中規模施設

〈事例発表〉

① 鳥栖市地域振興財団
テーマ『専用スタジアムの管理運営~Jリーグシーズン中におけるラグビー及びその他多目的利用について~』

 サッカー専用スタジアムであるベストアメニティスタジアムが、Jリーグシーズン中にラグビー試合を実施する上での運営・管理の仕方や、現在どのような問題点があるのかなど、指定管理者の立場から管理面を中心に発表がありました。

② 国立競技場
テーマ『担当職員と行事との係わり方』

 利用申し込みから行事終了までの職員の仕事の流れや用器具の取り扱いについて紹介し、現在国立競技場で懸案事項となっている各種大会・行事での用具の取り扱いやピッチへの立ち入り制限等について、参加者とディスカッションを行いました。
 事例発表・ディスカッションとも、日頃現場で出る細かな問題点について様々な視点から意見を聞くことができ、参加者からは有意義であったとの声が多く寄せられました。

2日目


秩父宮ラグビー場
秩父宮ラグビー場
■施設見学

 2日目は、秩父宮ラグビー場からスタートして、明治神宮野球場、国立競技場へと通称「スタジアム通り」沿いに並ぶ三つのスタジアムの施設見学を行い、約100名が参加しました。
 明治神宮野球場では、2008年春にプロ野球球場として日本で初導入された、天然芝とほぼ同じ衝撃吸収性を持つ人工芝(3Dモノフィラメント製法の透水性ロングパイル)に足を踏み入れて、実際にその感触を確かめ、また、その管理方法などに関する質疑応答がされ、大変参考になりました。
 また、バックスクリーンの全画面フルカラーLED方式の大型映像装置には、ライブカメラ映像やプロ野球のハイライト映像などが映し出され、その迫力と精細さに、参加者の興味が集中していました。
 今回は、プロ野球チームが使用する野球場の施設見学も含まれ、各施設を管理されている参加者の方々にとっては目新しい部分と、反対に共通する部分とが見られ、参考になったのではないでしょうか。
 今回で第7回となる情報交換会ですが、管理・運営上同じ課題を抱えている施設が多く見られ、各分科会ともに質疑応答やディスカッションが活発に行われていました。それぞれの施設を取り巻く環境は時々刻々と変化し、試行錯誤する日々ではありますが、この会が有益な情報交換の場になるよう、また、スタジアム関係者間のより良い交流の場となるよう、さらなる充実に努めたいと思います。
 なお、各分科会ともに事例発表後、それぞれのテーマでディスカッションを予定していたところですが、時間の関係上実現しなかった分科会や、予定のテーマを終わらせることができなかった分科会がありました。紙面を借りてお詫び申し上げます。これらのテーマについては、折を改めて企画を練り直したいと考えております。
 また、事例発表をお引き受けいただいた皆様にも、紙面を借りて感謝を申し上げます。

明治神宮野球場
明治神宮野球場

設置された全画面フルカラーLED方式の大型映像装置
設置された全画面フルカラーLED方式の大型映像装置

 

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