JISS徹底解剖~第2回~


 第1回に引き続き、第2回は、国立スポーツ科学センター(JISS)地下1階にある施設のうち、競泳プールとスポーツクリニック内の各種装置を紹介します。

■地下1階

【競泳プール】

50m×8コースある競泳プール
競泳プール

 50m×8コースの競泳用プールです。水深は可動床によって0~2mまで調節することができ、コースロープを外すことで水球競技にも対応が可能です。

 天井や壁面等多くの場所にカメラを設置することができ、多方向から水泳動作を撮影することによってフォームの分析に生かされます。これらの映像は、一括同期モニターすることができます。

 アスリートのパフォーマンス向上のために、水温は、平均27度に設定されています。

 全てのコースには、2012年ロンドンオリンピック採用予定のブロック付きスタート台が設置されています。このスタート台は、国内では国立スポーツ科学センターにしかありません。また、第4コースのスタート台(飛び込み)とターン壁面には圧力盤が設置してあり、スタートやターン動作の技術評価・向上を行うことができます。

 また、第1コース全体をビニールハウスのように専用のシートで覆いかぶせ、シートの中を低酸素状態にし、心肺機能の向上のためのトレーニングや実験を行うことができます。高度3、000m程度の低酸素状態にするには、約2時間の準備時間が必要です。

【スポーツクリニック】

3テスラの磁場強度で高解像度の画像撮影が
可能なMRI装置
MRI装置

  • MRI(核磁気共鳴映像撮影)検査室

    磁気共鳴映像撮影装置は、筋や腱、靭帯といった軟部組織の描写に優れた画像診断装置です。また、3テスラという高い磁場強度の磁気共鳴撮影装置は、高解像度のMR画像を高速で撮影できるとともに、MRS(磁気共鳴スペクトロスコピー)を行い、代謝情報を得ることも可能です。

  • X線検査室

    X線撮影を行います。撮影した画像はFPD(フラットパネルディテクタ)及びCR(コンピューテッドラジオグラフィー)によるデジタル画像で全て保管します。また簡易型X線TV装置にてX線透視撮影も可能です。さらにフィルム自動現像機は従来の現像型でなく廃液が出ない乾式フィルム(ドライフィルム)にて画像を作成します。

    このほか、骨塩定量測定装置にて骨密度の測定・解析を行うことができます。

  • CT検査室

    骨病変の断層を撮影することができる、多裂検出器を有するマルチスライスX線CT(X線コンピュータ断層装置)があります。さらに撮影した断面を構築して、三次元解析及び質的診断へと結びつく定量解析を行うことができます。また、スポーツクリニック内に設置してあるその他の医療画像機器との接続を行うことによって、医療水準及び研究基盤の向上を図っています。

    これらの装置を用いて、筋肉や腱、靭帯等を中心とした、スポーツ障害の診療に必要な画像を撮影することにより医学的な問題を解決できるとともに、運動生理学的な筋肉の形態や特性の評価にも有用であり、スポーツ医・科学の分野において大きな力を発揮します。

 

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