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JISS in Action

2008年5月9日

ハンドボール競技北京オリンピックアジア再予選
および世界最終予選にむけてのテクニカルサポート

 

小笠原一生(スポーツ情報研究部)


 2007年8月から9月にかけて行われたハンドボール競技北京オ リンピックアジア予選(男子:愛知県豊田市、女子:カザフスタン)において、10年以上にわたり問題視されてきたアンフェアなジャッジングが初めて多くの 人の知るところとなりました。この事態を重くみた国際ハンドボール連盟(IHF)は、アジア予選のやり直しを決定し、男女日本代表チームは再びオリンピッ ク出場にむけて挑戦することとなりました。予選のやり直し決定から試合当日まで、ごくわずかな日数しか残されていなかったため、日本代表はチームの再編成 や戦術的準備を極めて効率的に行う必要がありました。ここではJISSがチームビルディングの効率化のために行ったサポートを,テクニカル面および情報面 に重点を置いて紹介します。

試合会場の様子
 
 
 


練習の常時モニタリングとリアルタイムフィードバック

 男女日本代表のトレーニングは新設されたナショナルトレーニングセンター(NTC)で行われました。NTCはトレーニングを効率的に行うために有用な機材 が充実しています。中でもハンドボールコート天井に取り付けられたカメラは、コートを俯瞰的に撮影することができます。つまり選手たちは自分たちの動きを あたかも作戦板の上でコマを動かすように確認することができるのです。このカメラを利用し練習中の状況を常時撮影しました。さらにコーチや監督からの要望 があれば随時コートサイドにて映像のフィードバックを行いました。従来であれば、練習後のミーティングで練習中におこった課題や修正点などを映像とともに 確認していました。したがって選手は練習中の感覚が薄れた状態で問題点の修正をする必要がありました。しかしながらこのカメラシステムを使用することによ り、リアルタイムフィードバックが可能となるので、選手は練習中の感覚を忘れることなく問題点の修正に取り組めるようになりました。

過去の試合の定量分析、映像フィードバック

再予選では男女とも韓国との対戦となりました。JISSは日本ハンドボール協会と協同し、前回のアテネ五輪予選の時から戦術分析活動に力を入れています。 そのため韓国の映像データは過去数年にわたり蓄積できています。今回は過去のデータを精査しつつも特に最近の試合について定量的な分析を行いました。定量 分析の結果は,韓国チームの得点や失点の傾向が明確となるため日本チームが対策を立てる上での重要な情報となります。チームへは試合全体の流れとともに韓 国の得点パターン、失点パターン、特徴的な戦術等を映像を用いてフィードバックを行いました。

韓国チームの出場選手の予測

韓国代表選手の中心選手はヨーロッパを舞台に活躍するプロ選手です。したがって選手によっては所属チームとの契約上、再予選に召集することが難しい選手も いました。我々は各種情報網を駆使しながらどの選手がチームに召集されないかを調査しました。そしてその結果をもとに韓国スターティングメンバーの予測お よび戦術の予測を行いました。

IHF世界最終予選にむけて


結果として男女チームとも韓国に及ばすオリンピックのチケットを獲得することができませんでしたが、女子は3月末にフランスで、男子は5月にクロアチアで 行われる北京オリンピックIHF世界最終予選出場の権利を得ました。女子チームはフランス、ハンガリー、コンゴと対戦し4チーム中上位2位に入れば北京オ リンピックへの出場となります※。強豪国ばかりですが、残されたチャンスを十分に活かすためJISSはIHF世界最終予選にむけても同様のサポートを行う 予定です。



(※この原稿を執筆した3月10日の時点では、日本女子チームはフランスにてフランス、ハンガリー、コンゴと対戦する予定でありましたが、その後変更とな り、ルーマニアにてルーマニア、ハンガリー、ポーランドと対戦することとなりました。その結果、ポーランドからは勝利をおさめることができましたが、ルー マニアとハンガリーに敗れたため、4チーム中3位となり五輪出場権を逃しました。)

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