スポーツと二人三脚

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第40回 「オー! クレィジー」と言われたこと 2008年10月24日

笠原 一也

 

  国立スポーツ科学センター センター長 笠原 一也
  かさはらかずや
1938年 埼玉県生まれ
国立スポーツ科学センター長  
和歌山県保健体育課長,文部省競技スポーツ課長,JOC事務局長、東京女子体育大学教授など歴任し現職.

 北京オリンピックが一段落したので、少し変わった話題でお許しを頂きたい。
 今年の夏のはじめ頃、私も約10年前に訪れたことのあるイタリアの観光都市フィレンツェで、日本の女子大生の落書きが問題となったことがある。

 私がフィレンツェを訪問したのは、日本体育協会のスポーツ指導者海外研修団の研修であった。団員に京都伏見工高ラグビー部の名監督、山口良治氏(当時) も加わっており、京都市とフィレンツェ市が姉妹都市という関係から京都市長からの親書を持参していた。お陰で一行はVIP待遇となり、一部が市庁舎となっ ているヴェッキオ宮殿内を、一般観光客が入れない所まで案内をしてもらった。

 そのフィレンツェ市には世界文化遺産もあり、また、ルネッサンス文化の中心として繁栄したこともあり、経済の主要部分は観光業であるが、スポーツ振興に も力を入れている。当然、我々スポーツ研修団は色々なスポーツ施設を視察し、特にサッカーのセリエAのフィオレンティーナの本拠地でもあることから、サッ カースタジアムも見学し、強化ガラスのフェンスで仕切られた観客席を見てフーリガン(イタリアではティフォージと言う)対策に苦労していることに驚かされ た。

 その夜のこと、夕食は各自自由だったので、仲間を誘ってと思ったら、もたもたしていたので誰もいなくなっていた。そこで1人でドウオモ広場に面したレス トランに飛び込み、広場を眺めながら優雅に先ずはワインをと気取ったのだが言葉が通じず、隣の席を見たらアメリカ人らしい年配の女性二人が美味しそうにワ インを飲んでいたので、お勧めかどうかたずねた。

 それがきっかけで良い仲間が出来たとばかりに話しかけられ、私の片言の英語でも話が弾み、どこを見学したか、どのくらい滞在しているかなどの話となっ た。私が一晩だけだと話すと信じなれないと目を丸くして「オー! クレィジー」といわれてしまった。二人は一週間滞在するとのことで、それでもフィレンツェを見学するのには足りないと話していた。アメリカ女性から見たら 我々の日程はあまりにも異常だと思われたようである。

 北京五輪、競泳200mバタフライ銅メダルの松田選手を指導した久世コーチは、20年間もかけて結果を出している。スポーツにも時間をかける事の大切さを学ばせてもらった。私もこれからは少し時間をかけることを意識してみようと思っている。

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