アスリートのキャリア形成支援に関する企業への意識調査報告
日本スポーツ振興センターは、スポーツ基本計画に示されているように「スポーツ界全体の連携・協働に資する」ことが求められています。アスリートの発掘・育成・強化の体系的かつ戦略的な支援の強化や、トップスポーツの伸長とスポーツの裾野の拡大を促すスポーツ界の好循環の創出を目指す中で、スポーツ関係機関とともに民間企業も含めた一体的なアスリート支援体制を強化する必要があります。
しかしながら、アスリートへの支援に対する民間企業の意識や支援の現状、課題等に関する情報を十分に把握できていませんでした。そこで、全国の民間企業の経営者等を対象にアスリート支援に関する大規模な意識調査を実施しました。
その結果、回答のあった企業のうち43%がアスリートへの支援に興味を持ち、また大都市圏以外の地域にもアスリートへの支援に強い関心を示す企業が多いことが明らかとなりました。一方で、アスリート支援に関する窓口の明確化や情報提供の改善といった課題も示されました。下記にて、昨年度の調査結果の要旨をご報告いたします。
昨年度のアンケート調査結果を踏まえ、今年度も範囲を広げ同様の調査を実施しております。なお、今年度の追加調査の結果については来年3月頃にご報告させていただく予定です。
≪要旨≫
◆調査対象 : 約16,000社(積極採用企業、プロスポーツへのスポンサー企業、体育会人材積極採用企業)
◆調査方法 : アンケート用紙への記入
◆調査期間 : 2013/2/15 ~ 2013/3/15
1.返信回答中43%の企業が、アスリート支援に関心
返信があったうちの5%が「一度話を聞いてみたい」、16%が「情報提供を希望する」、22%が「興味がある」との回答を行っており、アスリート支援に対する民間企業の高い関心を裏付ける結果となった。本アンケート調査への回答数は、約16,000通の送付に対して788件(返信率4.9%)であり、一般的な企業へのアンケート調査における回答率と比較して高い結果を得ることができており、アスリート支援に対する関心の高さを示す結果となったと考えられる。
2.大都市圏外の企業からの返信が58.9%
地域別の内訳としては、東京・愛知・大阪の三都府県以外の地方の道府県からの回答が58.9%以上のシェアを占め、アスリートへの支援意向を持っている企業は大都市圏に限らないことを示す結果となった。
3.19%の企業がセカンドキャリア支援に興味
関心のある支援内容に関する結果としては、「引退したアスリートの雇用」が最も多い回答を得た。自由コメント欄でも、競技経験がビジネスにおいても活かされるとの見解を示すコメントが寄せられた。また、現役アスリート、パラリンピックアスリート、地域のタレント発掘・育成事業への支援に対しても高い関心を示す結果となった。
4.17%の企業が、将来のメダル獲得選手の発掘・育成を目指す地域タレント発掘事業への支援に興味
将来のメダル獲得選手の発掘・育成を目指す地域タレント発掘事業に関しては、「地元の子どもたちの支援をしたい」とのコメントが寄せられた。
5.支援に関心があると回答した企業のうち、代表者がスポーツ経験者である企業は68%
企業がアスリートに対して、支援意向を持つかどうかに関しては、企業代表者のスポーツ経験の有無も一因となっていることが考えられる。支援への興味を示した企業のうち、代表者がスポーツ経験者であった比率は68%。一方、興味なしと回答したケースを見ると、スポーツ経験者の比率は40%であった。
6.アスリート支援における課題は、「支援に関する窓口の明確化、情報提供の改善」
企業からのアスリート支援における課題としては、下記のコメントが寄せられ、特に「支援したいという意向を企業サイドが持っているにもかかわらず、支援窓口がわからない、情報がないのでアクションできない」という声が多数見られた。
・スポーツへの支援はしたいが、情報が少なく全くわからない
・アスリート支援を行なえる規模の会社ではないので今まで考えたこともなかったが、興味あり
・これまでアスリートへの支援の実績がないため、今後の方向性も含めて検討したい
【詳しくは、こちらの報告書を御覧ください】
平成24年度調査結果報告書.pdf[1.25MB]
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