第85回 学校安全事故防止資料『スポーツ事故防止ハンドブック』活用事例 シミュレーション研修「スポーツ事故防止:その時どうする?」-上尾市立東小学校-


学校安全事故防止資料
『スポーツ事故防止ハンドブック』活用事例
シミレーション研修「スポーツ事故防止:その時どうする?」
-上尾市立東小学校-
 
 独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「センターという。」)では、学校等で災害が起こった時、その時どうする?のかを『スポーツ事故防止ハンドブック』にまとめています。このハンドブックでは、重大事故につながるケース、発生件数の多い災害の中から、特に「突然死・頭頚部外傷・熱中症・歯の外傷・眼の外傷」について、事故を防ぐための10カ条や事故発生時の対応フローチャートを見開きで確認できるようになっています。全国の学校に60万部を配布し、先生方には手元に置いて活用できるグッズとして好評を得ています。
 今回、上尾市立東小学校から、職員研修に、このハンドブックを活用したいとのお話がありました。その際、ハンドブックの送付と併せて「是非、研修の様子を取材させていただき、その様子を、センターWEBを活用して全国にお知らせしたい。」と設置者及び学校にお願いし、ご協力いただけることになりました。研修では、アクティブラーニングの一つとして、スポーツ事故を想定し、いざ、事故が起きた時の対応についてハンドブックを参考にして、各グループで話し合い、実際に事故が発生した時をシミュレーションして体験し、お互いにグループの訓練の様子を見る形式で行われました。

【研修の内容】

 講義では、学校歯科医の先生から「歯・口の基礎知識入門」と題し、歯の構造や、“う蝕歯、歯肉炎”の具体的な状態と、その予防方法などを、画像を見ながら詳しく説明されました。東小学校では、埼玉県歯科保健コンクールにおいて4年連続で優良賞を受賞されており、平成29年度は最優秀校に選ばれるなど、歯・口の健康づくりに積極的に取組まれています。     [講義の様子]

[発表の準備と担当を決める]

    続いて、シミュレーション研修「スポーツ事故防止:その時どうする?」が行われました。設定された“頭頚部外傷、突然死、歯・口のけが、熱中症”の4つの事故発生時の場面で、各グループがどのように対応し、行動すればよいのかを「スポーツ事故防止ハンドブック」に掲載された対応フローチャートなどを参考に話し合い、発表の準備と担当を決めます。
 各場面とも、「養護教諭は不在」の設定で、発表グループの先生方は、実際に事故があったことを想定して真摯に取組まれました。周りの先生方の目も真剣で、自分がその状況に立った時をイメージしているかのように発表を見ておられました。

【シミュレーション研修について】

 養護の先生のお話によると『「スポーツ事故防止ハンドブック」には状況に応じた手当の方法や対応のフローが簡潔にまとめられているので、発表する先生方は、答えが判っていることを、実際に行動し、見ている人にも伝えることができる方法として、シミュレーションによる研修を行っています。』とのことでした。     [シミュレーション研修の様子]

【DVDの視聴】

 研修の最後は、4つの場面にはなかった眼の外傷について、「スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応」のDVDを視聴されました。学校での眼の事故の様子がリアルに表現され、眼にものが当たった時に起こっているメカニズムを解説し、けがをした時の対応まで説明されており、先生方は熱心に視聴されていました。
[設定された4つの場面]
Aグループ ミッション 頭(とう)頚部(けいぶ)外傷(がいしょう) 事故の経緯 Aくんは、体育の授業で、跳び箱運動をしていた。得意な授業のため、Aくんは先生の注意もよく聞かずに、スピードをつけて踏み切ったところ、勢い余って、頭からマットに落ちた。幸い、教師の呼びかけには応じており、意識もはっきりしている。手足のしびれや頭痛、吐き気もないようだ。学校の体育の事故として、適切な対応を順をおって紹介してほしい。(☆発表で、必ずp.8【頭頚部外傷の10か条】を紹介してほしい。) Bグループ ミッション 突然死(とつぜんし) 事故の経緯 Bくんは、休み時間に校庭で、友達とサッカーをして遊んでいた。友達の蹴ったボールがBくんの胸に当たり、Bくんは、胸を押さえて倒れた。近くにいた先生が気付き、Bくんのもとに駆け寄っていった。呼びかけても反応がなく、あえぐような呼吸をしており、普段通りの呼吸は確認できない。迅速かつ適切な対応でBくんを助けてほしい。Cグループ ミッション 歯・口のけが 事故の経緯 Cくんは、体育の授業でバスケットボールの試合をしていた。四校親善球技大会が近くなり、練習にも熱が入っていた。Cくんの目の前にいた少し小柄な児童が、Cくんへのパスをカットしようと飛びついたところ、頭頂部がCくんの前歯2本に激突し、1本は折れてその場に落ちてしまったようで見当たらない。もう1本は歯茎から神経でぶら下がっている状態だ。適切な対応を紹介してほしい。Dグループ ミッション 熱中症(ねっちゅうしょう) 事故の経緯 Dくんは、運動会の全体練習に参加していた。この日の気温は32度で、日差しも強く、暑さ指数(WBGT)は30を示していた。開会式の練習をしていると、Dくんは、頭痛と吐き気をうったえ、顔面は蒼白で、その場に突然座りこんでしまった。教師の問いかけには応じており、意識障害はないようだ。意識障害の確認(質問をして応答をみる)を含め、適切な対応を紹介してほしい。(☆発表の中で、p.12【熱中症予防の原則】にも触れてほしい。)
 

【研修を取材して】

 日頃からシミュレーションを行っておくことで、実際にその状況に立たされた時、先生方が的確に行動できるのだろうと感じました。机上で理論を学ぶだけでなく、声に出し、体を動かすことで本当に身につくものだと思われます。
 校長先生は、多くの子供たちの命を預かる学校として、安全・安心できる環境づくりに、先生方が一丸となって取組まれているそうです。
 センターでは、今回研修で活用された「スポーツ事故防止ハンドブック」をはじめ、視聴された「スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応」のほか、「運命の5分間 その時あなたは ~突然死を防ぐために~」、「体育活動による頭部・頚部の外傷 ~発生時の対応~」、「水泳の事故防止 ~プールへの飛び込み事故を中心に~」、「スポーツ活動中の歯・口のけがの防止と応急処置」のDVD や「体育的行事における事故防止事例集」、教材カードなどを学校等に配布するとともに、YouTubeでも配信し、積極的に情報提供を行っています。これら事故防止啓発資料を活用して、学校安全に取組まれている事例がありましたら、ご紹介させていただきたいので、担当地域事務所にご一報ください。

 

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