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学校現場での取組(事故防止対策) 名古屋 第118号(2019.01)

JSCが提供する事故防止情報の活用事例
~平成30年度豊田市教育研究会養護部会夏季実技研修会~

 
研修会で実習に取り組む養護教諭の先生方   平成30年8月3日(金)愛知県豊田市において開催された、豊田市教育委員会及び豊田市教育研究会養護部会主催の研修会で、学校安全Webの事故防止情報が活用されていましたので、その様子を含めてご紹介いたします。
 なお、この実技研修会の前半ではお時間をいただき、日本スポーツ振興センター(以下、「センター」)より「学校の管理下の事故防止」の観点から「学校での事故を減らすために」と題し、講義を行いました。 
 

本研修会の概要 

 研修のテーマは「学校の危機管理能力を高める -災害事例や危険予知トレーニング等の活用を通して-」です。前半の講義に続き、後半は豊田市教育研究会養護部会の進行のもと危険予知トレーニングの活用と進め方の演習を行い、リスクマネジメント能力を高めるというもので、市内の小中学校の養護の先生方(一部保健主事の先生)100名近くが参加されました。 
 

センターからの情報提供 

 平成28年12月9日に愛知県名古屋市で開催された、センター主催のセミナー「平成28年度スポーツ庁委託事業『スポーツ事故防止対策推進事業 学校でのスポーツ事故を防ぐために』」に参加し、感銘を受けたという豊田市教育研究会養護部会の先生が、部会にて、セミナーへの参加は、事故防止を考える上で大変有意義であった旨を報告されたことにより、副部会長を通じ、本研修の講師派遣依頼が名古屋事務所にありました。
 スポーツ事故防止ハンドブック   これを受け、本研修会では「学校での事故を減らすために」と題し、「熱中症」と「眼の事故と予防」について講義を行いました。初めに「事故の傾向」として、災害共済給付業務の実施によって得られた学校からの災害事故情報より、発生時期、発生の場合等の統計情報や事故事例を紹介しました。次に「予防」について、調査研究によって導かれた予防の原則やポイント、事故発生時の対応などを紹介しました。また、参加された先生方には「スポーツ事故防止ハンドブック」をお配りしたところ、研修会後のアンケート結果から「見やすい」「事故発生時の対応フローチャートはわかりやすい」といった感想をいただきました。
 

演習 

 後半の演習では「グループワーク」、「事例ごとの代表者発表」、「KYT(危険予知訓練)の授業実践報告」等が行われましたので、その様子を取材しました。その中から、「グループワーク」「事例ごとの代表者発表」をご紹介します。      

 「研修会資料」より「Ⅱ 演習」のページⅡ 演習1 グループワーク<事例1~4について、再発防止策を考えてみよう!> *事前の危機管理<予防>リスクマネジメント*危機的事態が発生する前に、それを回避するために様々な対策を講じること。*発生時の危機管理<被害を最小限にとどめる>*救急処置やその場の教職員の動き。*事後の危機管理<再発防止>クライシスマネジメント危機的事態が発生した場合、迅速かつ適切な対応をとると。(事後対応)
1.グループワーク  
 グループワークは、学校の管理下での児童生徒の事故事例が4つ示され、6人又は7人構成のグループで1つの事例に取り組むというものです。  
 
 この4つの事故事例の1つに、『学校安全Web』で公開している「学校事故事例検索データベース」の歯牙障害の給付事例が採用されました。その事例とは、

『給食準備中に、雨が降って滑りやすくなっていた渡り廊下で、友達と滑って遊んでいた。滑ってうつぶせの状態で転倒し、床で顔面を強打した。前歯4本を負傷した。』

というものです。  
 30分の持ち時間で、(1)事前の危機管理 (2)発生時の危機管理 (3)事後の危機管理 の3点について、適切と考える行動について意見を出し合います。 
 付箋を使って意見をまとめている様子           

 意見を、付箋やマジックを使い画用紙に書いて視覚化し、精査して「再発防止策」としてのまとめを行います。

 各班ごとに発表者を決め、「事例ごとの代表者発表」において2分間でまとめを発表します。

 
2.事例ごとの代表者発表 
 前述の歯牙障害の事例に取り組んだグループの発表の1つを紹介します。 
 
 (1)事前の危機管理 
  ・「雨の日」、「廊下にいる時間」、「給食指導時」、それぞれの過ごし方について児童生徒に考えさせる。 
 
 (2)発生時の危機管理 
 発表の様子  頭を打っている可能性があるので、職員に役割の指示を出す。同時に保護者への連絡の指示を出す。
外来の診療時間外に当たるときは、病院等に先に一報を入れておく。その際に重要なのが、事故に至った事実確認を行うことである。本人から聞き取りができる状態なら、本人から聞き出す、無理なら一緒にいた友達から丁寧に聞き取りをすること。
処置として、折れた歯を保存液に入れて、口蓋中の汚染状況を確認する。患部を清潔に保ってガーゼを当て、病院を受診させる。
 
 (3)事後の危機管理 
  ・  全職員への周知のため、職員会議等で事故事例を基に再発防止策などを話し合う。  
  ・  「雨の日は注意」等の看板を設置するなど、視界に入りやすいもので、即効性のある注意喚起をし、児童生徒が走るのを予防する。 
  ・  スリッパなど滑りやすい履物は使用しない等、環境整備も考えていく必要がある。
 
 発表内容からは、先生方がこの事故事例において重視している対応は、他のグループ発表との共通意見としても出されていた「事故に至った事実確認を行う。」ことであることが伺えました。 
 
学校事故事例検索データベースについて  
  「学校事故事例検索データベース」では、災害共済給付において平成17年度から平成29年度に給付した、総数7,028件の死亡・障害事例が検索できます。
 本データベースでは、全国の死亡・障害事例を検索できますので、どのようなときに重大な事故が起こりやすいかを調べることができます。また、「発生状況」は、今回のような演習の事例としても利用できます。   
 検索結果は1件 平成24年度給付の事例  死亡障害種は歯牙障害 学校種は中学校 被災学年は1年生 場合1は休憩時間、場合2は昼食時休憩時間中 発生場所1は学校内・校舎内(園内・園舎内)、発生場所2は廊下 発生状況は、給食準備中に、雨が降って滑りやすくなっていた渡り廊下で、友達と滑って遊んでいた。その時に滑ってうつ伏せになった状態で転倒し、床で顔を強打した際に口腔内と前歯4本を負傷した。
 
 

研修会に参加してみて  

 「学校現場においては、事故が起きなければどうしても安心してしまいがちになる。」と先生方から聞きます。今回のような学校安全に関する研修は、先生方が学校で起きた様々な事故事例を知り、気の緩みを防ぎ、事故予防、事故発生時の対応について確認し合える重要な場であると感じました。 

 今後も、災害事例や統計データを分析し、提供することによって、学校における事故防止を支援してまいります。また、センター作成の「スポーツ事故防止ハンドブック」や「教材カード」など事故防止に役立つ資料を活用し、「実際に事故が減った!」等ございましたらご一報ください。学校現場での具体的な事故防止取組としてご紹介させていただきたいと思います。 
   


 

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