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広島もみじ通信 第70号(2018.3)

平成29年度 山口県高等学校教育研究大会
―学校での事故を減らすために―
 平成30年1月26日(金)に山口県高等学校教育研究会が主催する「平成29年度 山口県高等学校教育研究大会」において講師を依頼され、独立行政法人日本スポーツ振興センター(以下「JSC」という。)が学校事故防止のための情報提供を行いましたので、その様子を紹介します。 

◆参加対象者及び参加人数

 山口県内の高等学校・特別支援学校の保健体育科教諭、養護教諭 130名

◆講演内容

 「学校での事故を減らすために」と題し、初めに災害共済給付業務及び学校安全支援業務の概要を説明しました。次に、学校の管理下の体育活動中の災害を中心に、統計データによる事故の傾向について説明をしました。
また、負傷・疾病の部位別件数及び障害種別の割合で上位にある『眼』の事故、死亡事故の割合で半数を占めている『突然死』をテーマとした、当該事故の傾向と予防・対策等の事故防止に関する情報提供を行いました。

受講風景

『眼』の事故について

 『眼』の事故の傾向について、高等学校での事故発生の場合別の割合は、課外指導中と各教科(主に体育)の運動中で事故が多く発生しており、運動種目別の割合は、野球、サッカー、バドミントンの順に事故が多い傾向にあることを示しました。
H17年度~H28年度に給付を行った高等学校の
眼の障害の事故発生の場合別グラフ
眼の障害見舞金支給件数 1,228件、高等学校(478件)、課外指導:74.1%(354件) 各教科:13.6%(65件) 休憩時間:5.2%(25件)
H17年度~H28年度に給付を行った
眼の障害の運動種目別グラフ
833件、(1)野球:42.6%(355件)、(2)サッカー:19.8%(165件)、(3)バドミントン:8.2%(68件)、ソフトボール:4.2%(35件)、バスケットボール:4.1%(34件)、テニス:3.5%(29件)
 
 次に、実際に発生した事故事例の中から、野球部活動中、バッティング練習でピッチャーをしていて、バッターの打ったライナーが眼に当たった事例やティーバッティング中、トスを上げている時にバッターの手から離れたバットが顔面に当たった事例等5つの事例を紹介しました。
 「学校の管理下の災害[平成28年版]」における専門家の見解では、これらの事故の背景には、基礎的な技術習得が不十分であることが挙げられ、指導者は技能にあった練習計画を立てる必要があるとされています。事故防止の留意点としては、生徒同士で声を掛け合い、周囲の生徒の位置に問題がないか注意を払い、補助者の保護措置をするなど、基本的な危機回避対策を行うこと。また、練習前の用具や施設整備の点検整備とともに、練習内容に応じた注意事項や練習方法の確認を行い、生徒自身が常に自他の安全に配慮することができるように指導することが大切であることを共有しました。
 最後に、スポーツ事故防止ハンドブック(以下「ハンドブック」という。)や教材カードで事故発生時の対応や予防と対策について説明し、「スポーツ事故防止対策推進事業」(平成28年度スポーツ庁委託事業)における成果物のDVD「スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応」を上映しました。 
P.16 眼の外傷対応フローと解説

出典:スポーツ事故防止ハンドブック

教材カード
平成28年度スポーツ庁委託事業 スポーツ事故防止対策推進事業 スポーツ活動中の眼の事故防止と発生時の対応 
上映したDVD

『突然死』の事故について

 『突然死』の事故の傾向について、学校の管理下の死亡事故の半数が突然死で、その中でも心臓系突然死は70%を超える傾向にあることを示しました。
H19年度~H28年度の死亡事故発生の傾向
H19:突然死41件 その他の死亡34件、H20:突然死35件 その他の死亡39件、H21:突然死39件 その他の死亡29件、H22:突然死39件 その他の死亡35件、H23:突然死38件 その他の死亡44件、H24:突然死27件 その他の死亡21件、H25:突然死23件 その他の死亡40件、H26:突然死25件 その他の死亡26件、H27:突然死30件 その他の死亡33件、H28:突然死19件 その他の死亡28件、
 
 次に「学校の管理下の災害[平成25年―平成29年版]」から、突然死の事例及び運動時に突然倒れ、迅速な対応により救命されたものの障害(胸腹部臓器の障害)が残った事例を示しました。また、「学校における突然死予防必携―改訂版―」から、『心停止の予防』『早期認識と通報(迅速な通報と心停止の確認)』『一時救命処置(迅速な心肺蘇生とAEDによる電気ショック)』『二次救命処置と心拍再開後の集中治療』の4つの要素から成る『救命の連鎖』についてそれぞれのポイントを挙げ、突然死の予防と事故防止の留意点について共有しました。
 最後に「スポーツ事故防止対策推進事業」(平成26年度文部科学省委託事業)における成果物のDVD「運命の5分間 その時あなたは~突然死を防ぐために~」を上映しました。
学校の管理下の災害[平成29年版]    学校における突然死予防必携-改訂版-
↑クリックして「刊行物一覧」のページへ↑
※ダウンロードをしてご利用いただけます。
 平成26年度スポーツ庁委託事業 スポーツ事故防止対策推進事業 1.その時あなたは
上映したDVD

↑バナーをクリックして
「映像資料 DVD」のページへ

◆受講者からの感想

 講義終了後、参加者を代表して山口県の県立高等学校の先生から感想をいただきました。
 大変わかりやすい内容で、高校現場での障害の重症度が高いことを改めて知り、生徒の安全・命を守る者としての責任の重さを痛感いたしました。
 また、日頃の健康観察や用具・環境整備、連絡体制の確認、心肺蘇生や応急処置の迅速な実施がいかに大切か、また、高校生は自分の体調に合わせてセルフコントロールすること、それを相談できる体制・雰囲気づくり、指導も大切であると強く感じました。
 今回学んだことを情報共有し、これからの保健安全体制の充実に活かしていきたいと思います。
 

◆講義を終えて

 山口県高等学校教育研究大会自体は毎年開催されていましたが、JSCに講師派遣依頼をいただいたのは今年度が初めてでした。参加された先生方は時にメモを取りながら、熱心に受講してくださいました。
 また、後日、複数校の養護教諭から「職員研修に使用したい」、「教職員全員が携帯するために」とのことで、ハンドブックを送って欲しいという依頼があり、教職員分を送付しました。
 これらのハンドブックをはじめ、JSCが提供している事故防止情報が、学校でどのように活用され、学校安全・事故防止の体制づくりの中でどのように機能していくのかなどをご提供いただき、事故防止の取組として紹介できるようにいたします。
 このように、JSCが学校安全Web等で提供している事故防止に関する資料(ハンドブック、教材カード、冊子等)を、学校での研修や保健だよりや掲示等の印刷物に活用している事例がありましたら、広島事務所までご一報ください。
 ハンドブックの表紙に使われているイラストは、『救命の連鎖』です。JSCはこの鎖の一端を担えるように、これからもニーズに沿った、実際に活用していただける事故防止の情報提供に努めます。

救命の連鎖

学校安全フリーイラスト集は、学校安全Webから無料ダウンロードできます。


 

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