分岐鎖アミノ酸(BCAA)

項目 内容
名称 分岐鎖アミノ酸(Branched Chain Amino Acids:BCAA)
概要 体内で合成されない必須アミノ酸のうち、ロイシン、イソロイシン、バリンの3つのアミノ酸は、構造中に分岐構造を持つため、分岐鎖アミノ酸(Branched-Chain Amino Acids:BCAA)と呼ばれている(①)。分岐鎖アミノ酸も他のアミノ酸と同様にたんぱく質を構成する成分のため、たんぱく質を多く含む食品から摂取できる。
有効性
<疲労回復>
  • 動物を対象とした実験において、BCAAの投与により運動後のセロトニンや5-ヒドロキシインドール酸の上昇が抑えられたとの報告がある(②)。
  • アスリートを対象とした研究では、
    1. (1)プロサッカー選手を対象に、運動1時間前に7gのBCAA(ロイシン40%、バリン40%、イソロイシン20%)を250mLのバニラフレーバーの飲料(炭水化物3.4g、たんぱく質1.0g、脂質1.15g)に溶かして摂取させると、BCAAを入れないプラセボ飲料を摂取したときよりも運動中の選択反応時間が速くなった(③)。
    2. (2)100kmマラソンのレース開始1時間前と運動中に20gのBCAAを含む50gのアミノ酸サプリメントを摂取しても、レースタイムや筋痛は軽減されなかった(④)。
    3. (3)レスリング選手を対象に、レスリングの試合を模した運動の間に炭水化物+BCAA(0.1g/kg体重、ロイシン:イソロイシン:バリン=2:2:1)+アルギニン(0.1g/kg体重)を摂取させても、炭水化物(1g/kg体重、グルコース)を摂取した場合と比較してもパフォーマンスには影響はみられなかった(⑤)。
    4. (4)自転車選手を対象に、筋グリコーゲンを減少させた状態で最大酸素摂取量の70%に相当する強度で60分間+20分間の運動を実施し、運動の直前と運動中15分ごとに150~200mLのBCAA(7g/L)を含むドリンクを摂取したところ、運動後の認知機能がプラセボを摂取した場合と比較して向上した。しかし、運動パフォーマンスに差はみられなかった(⑥)。
安全性
  • 10-30g/日のBCAAサプリメントの摂取では健康被害はみられないようである(⑦)。
  • 6ヶ月間の継続摂取をしても、大きな副作用の影響は報告されていない(⑧)。
備考
  • 運動中にアスリートを対象とした研究は少なく、その有効性についても根拠に乏しいことが国際オリンピック委員会の著書にも示されている(⑨)。今後さらなる研究が必要である。
参考文献
  1. ①下村吉治:サプリメントのほんととウソ―エビデンスに基づいたサプリメントの有効性―, ナップ, 東京, 9-15, 2013.
  2. ②Gomez-Merino D, Béquet F, Berthelot M, Riverain S, Chennaoui M, Guezennec CY: Evidence that the branched-chain amino acid L-Valine prevents exercise-nduced release of 5-HT in rat hippocampus. Int J Sports Med. 22(5): 317-322, 2001.
  3. ③Wiśnik P, Chmura J, Ziemba AW, Mikulski T, Nazar K: The effect of branched chain amino acids on psychomotor performance during treadmill exercise of changing intensity simulating a soccer game. Appl Physiol Nutr Metab. 36(6): 856-862, 2001.
  4. ④Knechtle B, Mrazek C, Wirth A, Knechtle P, Rüst CA, Senn O, Rosemann T, Imoberdorf R, Ballmer P: Branched-chain amino acid supplementation during a 100-km ultra-marathon--a randomized controlled trial. J Nutr Sci Vitaminol. 58(1): 36-44, 2012.
  5. ⑤Jang TR, Wu CL, Chang CM, Hung W, Fang SH, Chang CK: Effects of carbohydrate, branched-chain amino acids, and arginine in recovery period on the subsequent performance in wrestlers. J Int Soc Sports Nutr. 22;8:21, 2011.
  6. ⑥Blomstrand E, Hassmen P, Ek S, Ekblom B, Newsholme EA: Influence of ingesting a solution of branched-chain amino acids on perceived exertion during exercise. Acta Physiol Scand. 159: 41-49, 1997.
  7. ⑦Gleeson M: Interrelationship between Physical Activity and Branched-Chain Amino Acids. J Nutr. 135: 1591S-1595S, 2005.
  8. ⑧国立研究開発法人医薬基盤・健康・栄養研究所 国立健康・栄養研究所、「健康食品」の安全性・有効性情報、http://hfnet.nih.go.jp/contents/detail633.html(2016年3月)
  9. ⑨Roelands B and Meeusen R: Nutritional effects on central fatigue. Sports Nutrition, 1st Edition, Maughan RJ, International Olympic Committee. Chapter17, 206-213, 2014.

 

ページトップへ