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サポートのたね

「サポートのたね」では、JISSで行っている研究の報告をわかりやすくコラムとして紹介します。
ここで蒔いた「たね」が、いつの日かスポーツの世界で花開くことを願っています。

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投稿者: サポートの たね
2014/02/19 10:29

運動強度は生理学的な要因と心理学的な要因の双方の影響を受ける「主観的運動強度」と生理学的な要因のみの影響を受ける「客観的運動強度」に分類されます。例えば主観的運動強度が客観的運動強度よりも高い場合、選手は実際の運動強度よりも高い運動強度を感じていますので、自身のベストパフォーマンスを発揮しているつもりでも、実際には発揮できていない可能性があります。
一方、主観的運動強度が客観的運動強度よりも低い場合、選手は実際の運動強度よりも低い運動強度を感じていますので、日頃行わないような身体にとって危険なパフォーマンスの発揮を試みてしまい、重大な怪我を引き起こしてしまう恐れがあります。したがって、試合中の主観的運動強度(つもり)と客観的運動強度(実際)の対応関係を把握することは、選手やコーチにとって重要であると考えられます。
そこでJISSでは、レスリングの試合における主観的運動強度と客観的運動強度の比較を行いました。12名のレスリング選手に2分3ピリオド制の試合を行ってもらい、その際の主観的運動強度を6-20点のボルグ・スケール(非常に楽である=7、非常にきつい=19)で、客観的運動強度を心拍数で評価しました。それらの評価値を比較する方法として、ボルグ・スケールを10倍した値と心拍数を比較する方法(方法①)、ボルグ・スケールと心拍数を5段階(かなり軽い=1、ほとんど最大あるいは最大=5)に分類するアメリカスポーツ医学会が考案した方法(方法②)、方法②の分類を7段階に細分化(かなり軽い=1、ほとんど最大あるいは最大=7)した方法(方法③)を用いました。
その結果、方法①ではすべてのピリオドで、方法②では第1ピリオドで、方法③では第1ピリオドと第2ピリオドで、主観的運動強度が客観的運動強度よりも低いことが示されました。また、試合の勝者と敗者で運動強度を比較したところ、客観的運動強度は勝者と敗者で同様でしたが、主観的運動強度は勝者の方が敗者よりも低いという結果が得られました。
今回の研究により、選手(特に試合の勝者)は実際の運動強度に比べて低い運動強度を感じながら試合を行っていることが明らかになりました。心拍数は動脈の触診によって測定することができますので、本研究で用いた主観的運動強度と客観的運動強度を比較する方法は、特別な測定機器がなくても行うことができる簡便なものです。よって、本研究で用いた運動強度の比較方法を日頃のトレーニングに活用し、選手にとって効果的なトレーニング強度を把握することで、パフォーマンスの向上に役立ててもらいたいと考えています。

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