ホーム > 知る・学ぶ > コラム > サポートのたね

サポートのたね

「サポートのたね」では、JISSで行っている研究の報告をわかりやすくコラムとして紹介します。
ここで蒔いた「たね」が、いつの日かスポーツの世界で花開くことを願っています。

10 07

投稿者: サポートの たね
2013/10/07 9:19

ストレッチングは、トップアスリートはもちろんのこと、中高年のスポーツ愛好家にとっても、安全で効果的な運動を行うための方法の一つで、非常に身近なものです。
ストレッチングを実施することにより、からだの筋の緊張をやわらげ、関節の動く範囲が増すことが期待され、筋のコンディショニングのみならず、障害予防やリハビリテーションにも役立ちます。トップアスリートにとっては、より良い鍛錬を積むために、そして、大会でのパフォーマンスを高めるために、科学的根拠に基づいた効率的かつ効果的なストレッチングが必要になります。
近年、超音波エラストグラフィという方法を用いて、筋の内部の硬さ(筋硬度)を定量化する研究が行われるようになりました。筋は疲労したり損傷したりすると硬くなるので、筋硬度を低減する(筋肉が柔らかくなる)ことは重要です。ストレッチングは、この筋硬度の低減に貢献することが予想されますが、かつて行われた研究では、ストレッチングに伴う筋硬度の減少がみられませんでした。言い換えれば、これまで当たり前のように行われてきたストレッチングによって、筋肉が柔らかくなるかどうかについては、十分にわかっていないというのが現状です。
JISSでは、筋けいれんが起こりやすい腓腹筋(ふくらはぎ)を対象として、静的ストレッチングの前後で筋硬度がどのように変化するのかを、超音波エラストグラフィを用いて検討しました。
その際に、腓腹筋内側頭(MG、ふくらはぎ内側)および外側頭(LG、ふくらはぎ外側)における筋硬度の筋間差(ふくらはぎ内側・外側の筋肉間の差)も検討しました。それらの検討を通じて、静的ストレッチングの急性効果を明らかにすることを目的としました。
健康な若年男性20名を被験者として、2分×3セット(セット間の休憩を1分に設定)の足関節底屈筋群(ふくらはぎの筋群)の静的ストレッチングを市販のストレッチングボードを使用して実施しました。その結果、静的ストレッチングに伴い、筋硬度は、MGおよびLGともに13%程度低減されました。MGおよびLGともに、同程度の効果が及ぼされることも明らかにされました。
今回の研究により、静的ストレッチングには筋硬度を低減させる効果があることがわかりました。しかしながら、トップアスリートが実際の試合会場で使用することなどを考えますと、より短い時間で、より効果的なストレッチング方法が求められるのも事実です。今後、さらに研究を進め、より現実的なストレッチング方法を提案し、競技力向上に役立てていきたいと考えています。



静的ストレッチングとは?
反動や弾みをつけずに、ゆっくりと筋肉を伸ばし、その状態でしばらく静止する最も基本的なストレッチングのことです。繰り返すことにより、徐々に可動域が大きくなります。痛みなく行えるため、安全性が高い方法と考えられています。

Tags:

ページトップへ