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サポートのたね

「サポートのたね」では、JISSで行っている研究の報告をわかりやすくコラムとして紹介します。
ここで蒔いた「たね」が、いつの日かスポーツの世界で花開くことを願っています。

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投稿者: サポートの たね
2012/12/13 17:38

トップアスリートは限られた時間の中で様々なトレーニングを行い、目的とする大会に向けて競技力を最大限に高めなければなりません。そのためには科学的根拠に基づいた効率的かつ効果的なトレーニングが必要になります。
筋力トレーニング(以下、筋トレ)には、筋肉を太くする(筋肥大)、また筋力や筋持久力といった筋機能を高める効果があります。このような効果の要因の一つとして、筋トレが筋肉の合成を高める成長ホルモン(以下、GH)の分泌を促すことがあげられます。JISSでは、低酸素環境で筋トレを行った方が通常の環境(以下、常酸素環境)で行うよりも、GHの分泌が促進されるのではないかという仮説を立てました。その根拠は次の通りです。
GHの分泌は、激しい運動によって生成される乳酸やカテコールアミン(アドレナリンなど)の分泌増加でより一層刺激されることが報告されています。また低酸素環境では、運動による乳酸の生成とカテコールアミンの分泌が常酸素環境よりも増加することが報告されています。従って、低酸素環境で筋トレを行えば、常酸素環境よりもGHの分泌が増加する可能性があると考えました。
そこで、JISSでは次のような実験を行いました。12名の健康な成人男性に常酸素環境と低酸素環境で筋トレを行ってもらい、その際の血液中の乳酸、カテコールアミン、そしてGHの濃度を測定しました。その結果、低酸素環境で筋トレを行った方が、常酸素環境で行った場合よりもすべての項目で有意に高い値を示しました。
今回の研究により、低酸素環境での筋トレは常酸素環境よりもGHの分泌を増加させることが明らかになりました。この結果は、低酸素環境で筋トレを行った方が、常酸素環境で行うよりも効果的である可能性を示しています。しかし筋肥大や筋機能の向上には、GHだけではなく様々な要因が関係しています。今後さらに研究を進め、低酸素環境での筋トレの効果について明らかにし、競技力向上に役立てていきたいと考えています。



低酸素環境とは?
低酸素環境とは、高地のように酸素が少ない環境のことをいいます。現在では、酸素濃度を調節することができる低酸素室や低酸素発生器を利用することで、人工的に低酸素環境を作り出す(気圧はそのままで酸素濃度を低下させる)ことが可能になっています。様々な競技のアスリートが、持久力の向上を目的としたトレーニングや高地トレーニング前の高地順化(高地に適応すること)のために低酸素環境を利用しています。

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