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サポートのたね

「サポートのたね」では、JISSで行っている研究の報告をわかりやすくコラムとして紹介します。
ここで蒔いた「たね」が、いつの日かスポーツの世界で花開くことを願っています。

名前: サポートの たね 作成日: 2012/12/13 17:36
サポートのたねの概要説明です。

投稿者: サポートの たね 投稿日: 2016/11/04 17:49

スポーツ科学部契約研究員 松田 有司

競泳日本チームは、リオデジャネイロオリンピックにおいて金メダル2個を含む合計7つのメダルを獲得し、大いに活躍しました。競泳選手が泳いでいる姿をテレビで応援し、一喜一憂した方も多いことでしょう。皆さんがテレビで見たレース映像には、実は様々な科学的な情報、「測る」量が含まれています。JISSでは開所当初からレースをビデオカメラで撮影し、そのレース映像から競泳のレースを測ることを試み、測った結果を選手にフィードバックすることや、測った結果から競技力の向上に役立つ技術を探ってきました。 競泳は他の選手よりも100分の1秒でも早く、ゴールに到着した選手が勝利を手にします。レースでは、選手はスタート台から飛び込み、その後浮き上がって泳ぎだします。プールの端で折り返すためにターン動作を行わなくてはなりません。競泳は、速く泳げる選手が必ずしも最初にゴールするわけではなく、スタート、ターン、泳ぎの総タイムが短い選手がレースを制するのです。レースでは公式タイムが発表されますが、例えば100mを例に挙げると、折り返し地点の50mのタイムと、ゴールの100mタイムしか発表されません。この公式タイムだけでは、選手がスタートやターン区間に何秒要したのか?どんな泳ぎをしたのか?以前の自分と比べてタイムが短縮した要因は何か?といった疑問に対して正確な答えを得ることができません。これらの疑問に答えるためには、レースの情報を独自に取得して詳細な分析をすることが必要です。それがレース分析です。
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投稿者: サポートの たね 投稿日: 2016/09/29 15:47

スポーツ科学部先任研究員 窪 康之

JISSが開所してから15年が経ちました。はじめのうちは、JISSに何ができるのかアスリートやコーチの皆さんに上手く伝えることができず、ほんの数種目にしかサポートを受け入れていただくことはできませんでした。しかし、今では40種目以上の競技のアスリートが毎日のようにJISSのサポートを利用してくださっています。幸いなことに、多くの競技現場からJISSの科学的サポートが役に立っていると評価をいただいていますが、選手の皆さんがどんなに努力してもなかなかメダルに手が届かないように、サポートも常に成功するわけではありません。成功と失敗を繰り返す中で、どうすれば科学的サポートが役に立つのか、私たちは考え続けてきました。今夏のリオデジャネイロ大会が終わり、2018年の平昌、そして2020年の東京と、アスリートに対する期待が高まる中で、JISSには何ができるのか、アスリートを科学的にサポートするとはどういうことか、私たちは今一度考えなくてはなりません。
科学的…というと、何かとても正しい、誰も知らなかった真実が見つかるような、そしてそれに従えば飛躍的にアスリートの能力が向上するような印象を持たれる方が多いでしょう。しかし、科学的とは、そんなに大それたことを意味する言葉ではありません。科学的とは、「誰もが確かめることのできる情報に基づいて考えを述べる」という手順に従っているということです。同じ手順で色々な人が繰り返し確かめて、より正しい答えに近づこうとするのが科学ですから、科学的だからといって、新しくて役に立つ知識が次々と生み出されるわけではないのです。ただし、誰もが確かめることのできる情報というところが、アスリートをサポートするためのひとつのポイントになるとは言えるでしょう。
誰もが確かめることのでき ... 詳細...

投稿者: サポートの たね 投稿日: 2014/09/19 8:54

長距離陸上選手や水泳選手が、標高の高い場所で合宿を行っているのはご存知でしょうか?近年、全身持久力を必要とするアスリートにとって、高地トレーニングは広く行われる一般的なものになっています。高地へ赴くだけでなく、同様の効果を期待して、平地に人工的に低酸素環境を作り、疑似高地環境のもと行うトレーニングや合宿も広まりつつあります。
今回のコラムでは、高地、つまり低酸素環境が及ぼす睡眠への影響について紹介します。睡眠はトレーニングで疲労した身体を回復させる重要な要素の一つです。これまでの睡眠と高地トレーニングに関する研究では、2006年の「高地トレーニングがよく行われる程度の標高では睡眠の質は平地と同等である」という研究論文しかありませんでした。しかし、実際に高地トレーニングを行うアスリートの中には、頭痛や「よく眠れない」、「朝、疲れが残っている気がする」などの症状を訴える方々がいることが分かりました。そこでJISSでは、低酸素環境下でのアスリートの睡眠の質について調べてみました。
JISSは、標高3,000m相当まで調節可能な低酸素宿泊室を備えています。この宿泊室で、常酸素環境(平地)と低酸素環境を作り、実験を行いました。
対象は、陸上競技部に所属する大学生および大学院生8名で、常酸素環境(標高22m)と低酸素環境(標高2,000m相当)の両方に宿泊してもらいました。記録したデータは、睡眠中の脳波、眼電図、筋電図、心電図、呼吸で、それらのデータから睡眠の質を比較しました。その結果、疲労回復に重要な役割を果たすと考えられている「徐波睡眠」(※)が、常酸素環境に比べて低酸素環境で短縮することがわかりました。そこで、もう少し標高の低い1,500m相当の低酸素環境を作り、同様のデータを記録しました(対象は7名)。睡眠の質について比較したところ、1,500m相当の低酸素環境と常酸素環 ... 詳細...

投稿者: サポートの たね 投稿日: 2014/02/19 10:29

運動強度は生理学的な要因と心理学的な要因の双方の影響を受ける「主観的運動強度」と生理学的な要因のみの影響を受ける「客観的運動強度」に分類されます。例えば主観的運動強度が客観的運動強度よりも高い場合、選手は実際の運動強度よりも高い運動強度を感じていますので、自身のベストパフォーマンスを発揮しているつもりでも、実際には発揮できていない可能性があります。
一方、主観的運動強度が客観的運動強度よりも低い場合、選手は実際の運動強度よりも低い運動強度を感じていますので、日頃行わないような身体にとって危険なパフォーマンスの発揮を試みてしまい、重大な怪我を引き起こしてしまう恐れがあります。したがって、試合中の主観的運動強度(つもり)と客観的運動強度(実際)の対応関係を把握することは、選手やコーチにとって重要であると考えられます。
そこでJISSでは、レスリングの試合における主観的運動強度と客観的運動強度の比較を行いました。12名のレスリング選手に2分3ピリオド制の試合を行ってもらい、その際の主観的運動強度を6-20点のボルグ・スケール(非常に楽である=7、非常にきつい=19)で、客観的運動強度を心拍数で評価しました。それらの評価値を比較する方法として、ボルグ・スケールを10倍した値と心拍数を比較する方法(方法①)、ボルグ・スケールと心拍数を5段階(かなり軽い=1、ほとんど最大あるいは最大=5)に分類するアメリカスポーツ医学会が考案した方法(方法②)、方法②の分類を7段階に細分化(かなり軽い=1、ほとんど最大あるいは最大=7)した方法(方法③)を用いました。
その結果、方法①ではすべてのピリオドで、方法②では第1ピリオドで、方法③では第1ピリオドと第2ピリオドで、主観的運動強度が客観的運動強度よりも低いことが示されました。また、試合の勝者と敗者で運動強度を比較したところ、客観的運動強度 ... 詳細...

投稿者: サポートの たね 投稿日: 2014/01/31 9:10

アスリートがパフォーマンス向上のために行うトレーニングのひとつに、反動をつけてジャンプ等を行うプライオメトリックトレーニングがあります。このトレーニングはジャンプ力や走力の強化を目的に、球技や陸上競技など幅広い競技種目で導入されているトレーニング方法です。
これまでの研究で、筋力トレーニングのみを行った場合よりも、筋力トレーニングとプライオメトリックトレーニングを組み合わせて行った場合の方が、ジャンプ力が向上することがわかっています。では、プライオメトリックトレーニングを行うことで、身体内ではどのような変化が起きているのでしょうか?
実際に、8名の被験者を対象に、プライオメトリックエクササイズを1セッション練習してもらい、練習前と後で筋線維の動きがどのように変化するのか、超音波装置や筋電図を用いて計測することにしました。
その結果、ジャンプ力は練習前よりも練習後の方が高くなっていました。そして、練習後の方が、筋線維の伸び縮みの量が小さくなり、筋線維と骨を繋ぐ腱の伸び縮みの量が大きくなっていました。さらに、反動動作の沈み込みから切り返しまでの局面で、筋活動が生じるタイミングが早まることもわかりました。なお、1セッションの練習なので、筋力や腱のバネ特性が変化したとは考えられません。
これらの結果から、プライオメトリックエクササイズを行うことによって力を入れるタイミングが変化し、筋線維の伸び縮みが減ることで、腱のバネ作用が強調されることがわかりました。
身体の構造上、人間は腱の動きを直接コントロールすることはできませんが、筋線維の動きを介 ... 詳細...

投稿者: サポートの たね 投稿日: 2013/10/07 9:19

ストレッチングは、トップアスリートはもちろんのこと、中高年のスポーツ愛好家にとっても、安全で効果的な運動を行うための方法の一つで、非常に身近なものです。
ストレッチングを実施することにより、からだの筋の緊張をやわらげ、関節の動く範囲が増すことが期待され、筋のコンディショニングのみならず、障害予防やリハビリテーションにも役立ちます。トップアスリートにとっては、より良い鍛錬を積むために、そして、大会でのパフォーマンスを高めるために、科学的根拠に基づいた効率的かつ効果的なストレッチングが必要になります。
近年、超音波エラストグラフィという方法を用いて、筋の内部の硬さ(筋硬度)を定量化する研究が行われるようになりました。筋は疲労したり損傷したりすると硬くなるので、筋硬度を低減する(筋肉が柔らかくなる)ことは重要です。ストレッチングは、この筋硬度の低減に貢献することが予想されますが、かつて行われた研究では、ストレッチングに伴う筋硬度の減少がみられませんでした。言い換えれば、これまで当たり前のように行われてきたストレッチングによって、筋肉が柔らかくなるかどうかについては、十分にわかっていないというのが現状です。
JISSでは、筋けいれんが起こりやすい腓腹筋(ふくらはぎ)を対象として、静的ストレッチングの前後で筋硬度がどのように変化するのかを、超音波エラストグラフィを用いて検討しました。
その際に、腓腹筋内側頭(MG、ふくらはぎ内側)および外側頭(LG、ふくらはぎ外側)における筋硬度の筋間差(ふくらはぎ内側・外側の筋肉間の差)も検討しました。それらの検討を通じて、静的ストレッチングの急性効果を明らかにすることを目的としました。
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投稿者: サポートの たね 投稿日: 2012/12/13 17:38

トップアスリートは限られた時間の中で様々なトレーニングを行い、目的とする大会に向けて競技力を最大限に高めなければなりません。そのためには科学的根拠に基づいた効率的かつ効果的なトレーニングが必要になります。
筋力トレーニング(以下、筋トレ)には、筋肉を太くする(筋肥大)、また筋力や筋持久力といった筋機能を高める効果があります。このような効果の要因の一つとして、筋トレが筋肉の合成を高める成長ホルモン(以下、GH)の分泌を促すことがあげられます。JISSでは、低酸素環境で筋トレを行った方が通常の環境(以下、常酸素環境)で行うよりも、GHの分泌が促進されるのではないかという仮説を立てました。その根拠は次の通りです。
GHの分泌は、激しい運動によって生成される乳酸やカテコールアミン(アドレナリンなど)の分泌増加でより一層刺激されることが報告されています。また低酸素環境では、運動による乳酸の生成とカテコールアミンの分泌が常酸素環境よりも増加することが報告されています。従って、低酸素環境で筋トレを行えば、常酸素環境よりもGHの分泌が増加する可能性があると考えました。
そこで、JISSでは次のような実験を行いました。12名の健康な成人男性に常酸素環境と低酸素環境で筋トレを行ってもらい、その際の血液中の乳酸、カテコールアミン、そしてGHの濃度を測定しました。その結果、低酸素環境で筋トレを行った方が、常酸素環境で行った場合よりもすべての項目で有意に高い値を示しました。
今回の研究により、低酸素環境での筋トレは常酸素環境よりもGHの分泌を増加させることが明らかになりました。この結果は、低酸素環境で筋トレを行った方が、常酸素環境で行うよりも効果的である可能性を示しています ... 詳細...

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