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投稿者: センター長 コラム
2012/05/21 13:30

  ロンドンオリンピック開幕も近づき、競技ごとの最終選考会も佳境に入ってきておりますが、今回は、ロンドンへの代表入りを果たした競泳の北島康介選手にスポットを当ててみました。
  競泳のオリンピック選考基準は、各種目の決勝で上位2名に入り、なおかつ日本水泳連盟の派遣標準記録(本番でも決勝に残れるタイムを設定)の突破が義務付けられております。4月上旬に行われました代表選考会では、100分の数秒差の記録の壁が明暗を分けることになりました。
この大会で最も注目された選手は、シドニー(100m平・4位)、アテネ(100m平・金、200m平・金)、北京(100m平・金、200m平・金)に次ぐ連続4度目の出場がかかった北島康介選手でしたが、見事に100m、200mともにトップでゴール、100m平泳ぎでは、自己の持つ日本記録(58秒91⇒58秒90)を塗り替えて五輪切符を勝ち取りました。
  北京後の彼は、心身の疲労がピークを迎えていたと思いますが、肉離れによる準備不足の中で出場した昨年の世界選手権は、100m平・4位、200m平・2位の結果に終わり、今年は年齢的にも29歳を迎え、国内でも若手の追い上げも厳しくなってきておりました。こうした状況ではありましたが、再度記録を塗り替え復活してくる強さはどこから生まれてくるのでしょうか?
  今回の競技日程は、100m平が初日(予選・準決)、2日目(決勝)、中1日置いて4日目に200m平の予選・準決、5日目が決勝でしたが、彼にとっては、泳ぎのチェック、レースの組み立て、コンディショニング、レース後の過ごし方などを含めて、この5日間をロンドン本番で最高のパフォーマンスを発揮していく上でのシミュレーションに位置づけていたのではないでしょうか。
  多分、過去3大会の経験をもとに、ロンドンでの予選から決勝までのレース展開や通過タイムを予測し、彼の両サイドは本番で競い合うであろう選手をイメージしてレースに臨んだものと思います。
  戦術的にも「機先を制する」前半からの積極的な泳ぎは、レース全体の流れを自らがコントロールし、勝機を自らの手で引き寄せてくる百戦錬磨の経験を積んだ勝負師としてのつぼを心得た戦いぶりでした。
  こうしたレース運びを可能にしている最大の要因は、日本を離れ米国での武者修行を積みながら、自らに厳しいトレーニングを課してきた弛まぬ努力ではないでしょうか、この裏付けこそが、他を圧する積極的な泳ぎを生み出し、強さのオーラを醸し出すのではないでしょうか。
  かつて、フジヤマノトビウオと称された、故古橋廣之進氏は、「私の目標は、世界一になることだった。だから人の何倍もの練習を苦しいとは思わなかった。人間というものは大きな目標を持って、一筋に努力し工夫し苦しみに耐えてこそ大きく成長していけるものだと思う・・泳心一路」と語っております。
  今回のロンドンでは、五輪3大会連続2冠の期待が寄せられておりますが、誰よりも五輪で勝ちあがっていくことの厳しさと頂点を極めた達成感を幾度となく体感している彼にとっては、本番での世界のライバルとの頂上決戦に向けた緊張感が逆に彼の心を奮い立たせ、上昇志向モードへとギアチェンジさせていくものと大きな期待を寄せております。

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