JISSのスタッフ、勤務経験者がJISSでの仕事を紹介します。

03 26

投稿者: ex- worker
2010/03/26 0:00

国立大学法人鹿屋体育大学 アドミッションセンター長 体育学部教授

元 JISSスポーツ科学研究部契約研究員

1. 現在の所属・業務内容
 私は現在、国立大学法人鹿屋体育大学に所属しており、専門 のバイオメカニクスを生かした競技力向上や健康増進につなげるための教育・研究に従事しています。授業ではあらゆるところでJISSの経験談を学生達に話 していますが、JISSネタは学生の食いつきもよく、90分授業の中での大切なアクセントとなっています。また、2007年にJISSと鹿屋体育大学は大 学院博士後期課程で連携する大学院が開校しました。それ以来JISSにいながらの本学大学院生が勉強させていただいております。学生にとってはとても貴重 な体験でありますが、客員教授としてお手伝いいただいているJISSのスタッフの皆さんには、現場の忙しさが十分わかっているだけに、申し訳ないような気 持ちでもおります。しかし私は、この連携大学院があることから、JISSを離れた今でもJISSに伺う機会はかなりありますし、とても性能のよいテレビ会 議システムで、JISSにいる大学院生と授業やゼミナールを行っています。そのたびにJISSの今が伝わってきて今もとても身近な存在ですね。
大学説明会にて大学やJISSの話をしている様子
また私はバイオメカニクスの仕事以外にも、本学のアドミッションセンターにて、年間何度もある各種入学試験の実行、改善、それに伴う広報活動などもセン ター長として責任を持たされています。言うまでもなく、どの大学でもアドミッションに関わる仕事は、その活動が今後の大学の存続にも関わりますので必死に なっているのが現状といえます。本学も優秀な学生を確保するための広報活動に力を入れておりますが、本学は鹿児島県にありながら、全国どこからも学生さん が来てくれますので、私たちの広報活動も全国各地に及びます。そんな広報活動で私が必ず行う話は次の2点。1)鹿屋体育大学の驚異的な施設の充実、2)卒 業後の進路としてのJISSの紹介です。1)の大学の施設の充実は、どの大学もその充実は納得するところなのですが、本学は学生数が少ないため、対人数比 で検討すると、その充実ぶりは信じられないほどです。そして2)のJISSの紹介。まだJISSの存在をよく知らない受験生は、オリンピック選手のサポー トなんて、雲の上の世界で現実的でないようなイメージだったと思いますが、私のJISSでの経験談やこれからも専門的なサポートができる人間を必要として いることを紹介すると、体育系大学への進学をより前向きに検討し、受験へのモチベーションを上げてくれます。
このように私の今の仕事には、JISSでの経験は確実に生きていますし、今後も多くの若者がJISSに目を向けてもらい、十分にトレーニングを受けた専門家をJISSに送り出していければ、それが恩返しだと考えています。
2.JISSでの所属・業務内容

 私がJISSスポーツ科学研究部のスタッフ になったのは、まさにオープン当初の2001年です。毎日トータルスポーツクリニック(TSC)事業(現スポーツ医・科学支援事業)の予定が詰まってお り、いろいろな競技団体が訪れて、チェックを行っていきました。私たちはそれに間に合わせるように、測定評価の質を高める研修をしたり、測定内容の吟味を 行ったりしていましたが、如何せんオープン当初ですから、ともかくバタバタ、混乱、ミーティング、改善、でもまだバタバタ・・・な毎日でした。競技団体の 方も日本に新しくできたJISSとの距離感がわからず、どんな風に利用していったらよいか、ほんとに信頼してもよいのかなど、すぐにいい形になっていたと はいえない時もあったと思います。またそれらのちょっと異様な雰囲気は、特に若いスタッフの不安などにつながっていたと思います。しかしこれらは少しずつ 改善していきます。毎日粛々と続けていたスタッフ間の議論、工夫、アスリートを中心に考える思いは、なにより少しずつアスリートやコーチングスタッフに伝 わり、JISSの存在意義が高まっていったと思います。オープン当初のJISSスタッフは現在、JISS内外のいろんなところで活躍していますが、当時の ことは今でもとても懐かしく語ることができ、自分にとっても大変貴重な体験でした。

私は、スポーツ科学研究部でもバイオメカニクスのグループにいましたが、TSCのチェックでは形態計測や筋力・パワー測定を行うことが多くありました。 形態計測は今は専用のスキャンで簡単にできていると伺っていますが、当時はマルチンの計測器を使っていましたので、アスリートと10~15分間、1対1で いろんな時間を共有しておりました。その場の空気を読みながら、多くは手早く終わらせることを意識していましたが、なかには話し好きで、「もっと話しして いましょうよ!」みたいな著名なアスリートもいて楽しかったですね。
3.なぜJISSで働こうと思ったか
 全く迷いはありませんでした。日本のトップアスリートサ ポート施設が本格的にできるという情報が入ってからは、JISSに入りたいと決めていました。当時、私は秋田大学の助手で、目標の学位も取得していました ので、次のステップにJISSは最高の場所でした。ただし採用の際は、JISSの契約が年限ありの採用でしたので、特に年限のない国立大学を辞めて来るこ とに皆さんが心配してくださいました。最終面接の際も、当時の浅見センター長が、ほんとに前の職場を辞めても大丈夫なのか?と何度も確認されたのを覚えて います。
私は学生時代から、ずっとアスリートサポートを続けていました。大学院生になってからは野球部の後輩たちのスポーツ科学的なサポートを積極的にトライし ておりましたし、卒業後は東京の社会人野球チームのサポートを長い間行っていました。現場の選手・コーチとどう接していいかということは自ら多くのケース を体験していましたので、JISSでのサポートは本望でしたし、性格的にも自分には合っているとわかっていました。また、鹿屋体育大学にいたことも何より 大きかったです。前述したとおり、本学は学生数が少ないうえに、豊富なスポーツ科学施設がありました。また自分の専門のバイオメカニクスだけでなく、運動 生理学をはじめその他の分野の方法論も大学で多く実習できていましたので、JISSに来て、自分の専門外のエリアにも柔軟に対処しなければならないケース にも落ち着いてできたと思っています。
4.心に残っている仕事
 2002年に日本と韓国でのサッカーワールドカップが開催 されました。JISSはオープン当初であったこともあり、サッカーの日本代表候補を迎える前はいつも以上に打ち合わせが多かったように思います。当日は、 普段通りの仕事をすればよいだけでしたが、大物ぞろいの選手たちに、慣れるまでにさすがにちょっと緊張しました。そうこうしていると、静かな形態計測室 に、遠くの方からざわざわとした声が聞こえ始め、なんか来るな・・・と思いながら計測を続けていると、現れたのは当時のトルシエ監督とその取り巻きの方々 でした。監督とは眼も合いましたし、お礼も言われました。監督のオーラが確実に見えましたし、数ある仕事の中でも印象に残っています。
JISS時代に研修したINSEP(フランス)の正面玄関
 また赴任中に、JISSの皆さんとフランスのトップアスリートサポート施設であるINSEPに研修に行かせていただいたこともとてもありがたい思い出で す。JISSのオープン当初は大変なことも多くありましたが、今後のJISSのために先駆的な国の現状を理解することを目的に、このような研修制度を準備 していただきました。これはなかなかできない経験でした。他国の現状をみると、やはり私たちがやるべきこともわかってきます。他国と同じようにする必要も なく、JISSならではやり方を改めて議論するのに、とても重要なプロセスであったと思っています。他のメンバーはオーストラリアのAISなどにも派遣さ れました。当時は、やっと日本にもJISSができたんだなぁという印象で、他国に先を越されていた感じを思った記憶があります。今のJISSはこれらの経 験をふまえて成り立っていると思います。
5.JISSでの仕事で得たもの、成長した面は何か。
 きっとJISSに関わった多くの方が言うことだと思います が、やはり私も人脈が広がったことが一番だと思います。JISSにいればいろんな人が寄ってきてくださることから、もちろんトップアスリートとも知り合い になれましたが、何といってもスポーツ科学業界で働く仲間たちが増えたことは大きいことです。私は比較的中堅クラスの年齢(若くはなかった)でJISSに 飛び込んで行きましたので、JISSで上司となった先輩方や、他大学の先生方とはすでに面識がありました。私が何よりよかったことは、私よりも若い世代の JISSスタッフと仲良くなれたことです。飲みに行っていろいろな悩みも聞けましたし、頑張っている姿もよくわかり、一緒にいろんなことを進めていくごと に少しずつ団結感も感じていきました。きっとその仲間たちとは今後もいろんな仕事を協力してやっていけると思います。今となってはいろんな仕事を若手にお 願いすることも多くなり、JISS時代の人脈は強力ですね。
私が成長させていただいた面としては、視野が広がったことでしょうか?JISSは研究室ではなく現場です。またいろんな思いをもった方々がいて、日々ど んどん変わっていく現場という感じがします。それぞれの課題を解決するには、他分野スタッフとのチームワークが必要であり、ともかく頭を柔らかく、人間関 係を良好にしながら難問にぶつかっていくような空気作りがいると思います。こういうことはそう簡単にマスターできるわけではないですから、今後の私も精進 していかなければいけませんが、JISSにいた時は本当にいろんなことがありましたから、視野広く、柔軟に対応する能力が鍛えられていったと思います。
6.JISSでこれから働きたいと思う人へのメッセージ
 鹿屋体育大学でもJISSを目標としている学生がたくさん いますので、私自身もJISSスタッフとして必要なことはなにかなぁと考えることがよくあります。何が一番?と考えると、上記にもあるように「チームワー ク」じゃないかと思います。個人の能力でいえば、チームを意識して行動できるそれでいて専門家。私は大学で専門科目を教えていますので、勉強すればその専 門性は上げられることはよくわかっています。しかし、チームの空気を読む能力とか、いつもPositiveな雰囲気作りを学んでいくっていうのはどうした らいいか難しいですよね。JISSは一匹狼では絶対やっていけません。仲間をたくさん作り、たくさんコミュニケーションができること、これを強く意識しな がらも、当たり前ながら専門性を学んでいってほしいと思います。いずれにしてもJISSスタッフになるという夢がかなったら、それはそれは楽しい毎日、さ らに少なくとも「俺って日本のために働いてるかも・・・」くらいの気持ちになることはよくありますよ!
ぜひ頑張ってくださいね!
大学では硬式野球部の部長も兼務
バイオメカニクスの実習の様子

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