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第6回 IWG世界女性スポーツ会議参加報告

6月12日から14日まで、フィンランド・ヘルシンキで第6回IWG世界女性スポーツ会議(IWG World Conference on Women and Sport)が開催され、女性スポーツの環境改善に強い関心を持つ関係者約800名が、世界100カ国以上から一同に会しました。この会議にJSCからは4名の職員が参加しました。その様子をご紹介します。
     
       
 
 
 
 
 
 
 
 

 

 女性が安心してスポーツや体育に参加できる機会の提供や、女性コーチ・リーダーの育成は、現在のスポーツ界における大きな関心事となっています。その国際的な運動の起源は、1994年にイギリスのブライトンで開催されたこのIWG会議の第1回にあると言われています。このときに採択された「ブライトン宣言」は、女性のスポーツ参加をあらゆる面で推進していくことを大きな柱としており、2014年6月現在IOCやIPCを含む419団体が署名しています(ブライトン宣言の日本語版はhttp://www.iwg-gti.org/@Bin/22436/Brighton_Declaration_j.pdfで見ることができます。)。この会議を主催するIWG(International Working Group on Women and Sport)は、各国の政府、スポーツ界、教育界、メディアなどで活躍する女性リーダーたちで構成されています。2006年にはアジア地域を代表して、日本の熊本市で第4回世界女性スポーツ会議くまもとが開催されました。

ブライトン宣言から20周年となる今回のテーマはLead the change、Be the change (変化をもたらせよう。そして、見たいと思う世界の変化にあなた自身がなろう) で、具体的には、以下5つのサブテーマが設定されました。
■MOVE ME!(生涯にわたる健康・福祉のための身体活動)
■BUCK THE TREND(ブライトン宣言を更に進めるためのスポーツ政策)
■100% SPORT(良質な女子体育・スポーツプログラムのための改革)
■BE YOUR BEST COACH(女性のコーチやリーダーなど、人材の育成・活用)
■SPORT WITHOUT FEAR(安心・安全なスポーツ参加環境の整備と人権尊重)
これに基づいて5つの基調講演、36の分科会など3日間、毎日朝8時から夕方まで、盛りだくさんのプログラムが組まれました。

  

例えば基調講演では「男女均等とスポーツ政策を考える」をテーマに、UNESCO、政府代表、EU、IOC等の国際社会で活躍する女性リーダーが登壇しました。「女性指導者とリーダーの養成」では、世界の舞台で活躍する女性トップコーチ、アスリート、指導者らがパネリストとして自らの経験や知見を共有し、それぞれの立場から熱心な議論が展開されました。また「スポーツが女性にもたらすメリット」では健康増進の側面だけでなく、自信やリーダーシップなど人格形成の意義も大きいことが強調されました。特にまだまだ女性への偏見が強い地域では、自己マネジメント開発やHIV教育などにスポーツが活用されていることが紹介されました。

分科会はエリートスポーツにおける女性コーチ支援、ロールモデルやメンタリングの効果的なあり方、女子に興味を引き出させる良質な学校体育、女性スポーツ振興における政策や助成など、様々な分野の専門家・実務家が専門知識を交換する場となりました。

今回の会議で特徴的なのは、参加者ひとりひとりが女性スポーツのために何ができるが問われたことです。例えばIOC女性委員会長を長年務めたアニタ・デ・フランセス氏は、最近地元の若い女性からキャリア相談のEメールを受け取ったことを紹介し、「今後2年間、彼女を支援することを皆さんに約束する。もし2年後にお会いする機会があったら、彼女がどうなったかと私に質問して欲しい」と、800人を超す参加者の前で誓約(コミットメント)しました。分科会でも、参加者ひとりひとりに「誓約カード」を書かせる場面などが見られました。

会議の合間には地元オーケストラと太極拳のコラボ、男女の高齢者グループによるポップダンスなどが披露され、参加者も一緒になって体を動かすなど、和やかな風景が見られました。またロビーには女性マーケットの拡大をねらうニュースポーツ団体やフィットネス企業などもブース出展し、花を添えていました。


  

なおIWGには大陸別(アフリカ、アメリカ・中南米、アジア、ヨーロッパ、オセアニア)の部会があり、そのミーティングも開催されました。アジア部会では日本、イラン、インド、インドネシア、カザフスタン、台湾、フィリピン、バングラディシュから若手研究者、女性スポーツ関係者ら約30名が参加しました。司会を努めた小笠原悦子順天堂大学教授と、ナタルヤ・シポビッチ アジアオリンピック評議会女性スポーツ委員会委員長からそれぞれ、アジアにおける女性スポーツの現状と課題について説明がありました。その後、参加者全員でアジアにおける連携強化について話合い、フェイスブックなどを活用して積極的に情報発信していくことを確認しました。


 
 
 
 
 
 
 
 

会議最終日には、女性スポーツにかかわるすべての人と組織にむけた具体的な行動指針が盛り込まれ、そのために調査研究や国際協力を推進していくことを求めた「ブライトン・プラス -- ヘルシンキ2014宣言」が決議され、会議は閉幕しました(具体的な提言の例については、右図をご覧ください)。

スポーツや運動が私たちの心身にもたらすメリットや教育的効果は、男女を問わず非常に大きい事が研究で証明されつつあります。ところがスポーツとのかかわり方にはまだまだ男女で差があることが、今回のヘルシンキ会議で改めて浮き彫りにされました。参加者全員に配布されたレポート『ブライトンからヘルシンキ』では、ロンドンやソチのオリンピック・パラリンピックでの女性アスリートの目覚ましい活躍に見るように、この20年間で競技の場での男女差はなくなりつつあるとその進展をたたえています。その一方で日常生活や学校スポーツなどでのスポーツ・運動への参加機会は、世界的に見ると女性にとって壁があると指摘しています。またスポーツ組織におけるマネジメント層の女性の数は、他のビジネスに比べてまだまだ少ないこと、女性のコーチや競技役員のキャリア形成支援が進んでいないことにも触れています。そして女性の知識や経験、価値観が、スポーツの発展にもっと役に立つはずだ、女性へのエンパワメント(権限委譲)をもっと進めていくべきだと訴えています。

ヘルシンキ2014宣言は以下のように結ばれています。
「私たちはそれぞれ力をもらってこの場を離れます。『私個人が変化を起こすことができる、起こすつもりです。』」

JSCからIWG世界大会へは今回が初参加になりましたが、政府や国連、国際スポーツ団体、研究機関、コーチ、アスリートといった様々な立場の参加者たちとの交流・議論を通し、今後の活動に向けたアイデアの収集やネットワークの構築をすることができました。これからも積極的に女性スポーツに関する最新動向や女性スポーツ振興に役立つ情報収集を行っていきたいと思います。

次回第7回世界女性スポーツ会議は、4年後の2018年アフリカ・ボツワナ共和国で開催される予定です。

※IWG World Conference on Women and Sportについての詳細はこちら(英語ページ)をごらんください。
※会期中のFacebook記事はこちら:[JSC Facebookページ]


  

 

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