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Web杜のたより 第47号(2017.1)

弓道における事故防止の取組 
 
 独立行政法人日本スポーツセンターでは、災害共済給付に関する重要案件について公正かつ適切な災害共済給付を行うことを目的とした実地調査を行い、その結果は、災害共済給付に係る審査資料として利用すると共に学校の管理下における事故災害防止の資料としても活用しています。
 以前、実地調査を行った高等学校における弓道部活動中に発生した災害について、再発防止に向けた取組を取材し、『地域だより』にて紹介します。
 

調査事例

【災害発生状況】 高等学校 1年生 女子

 学校の弓道場で試合形式の練習中、他の生徒が射損じた矢がそれて、看的小屋の看的表示板のわずかな隙間をすり抜けた。
 被災生徒は看的小屋で的の的中確認を担当していたため、射手に対して横向きでイスに座っていたところ、矢が首の左側やや前側にほぼ垂直に当たった。
 射損じた矢は山なりに飛んだため、推力がかなり弱まった状態で隙間に入り、1cm程度の裂傷を負った。
 
看的表示板 
 看的小屋  
 ※看的小屋
 矢が的に当たっているかどうか見極め、あたりはずれを射場に伝える小屋
 
 
環境整備による事故防止策
  
 災害発生直後、学校でアクリル板を購入し、技能技師が看的表示板に取り付けた。
 矢道右側の通路に、災害発生後1週間以内に技能技師が臨時のネットを取り付け、後日、業者に依頼し、高さ4m20cm、幅14m40cmの60.48平米の防矢ネットを設置した。
 
矢道右側の通路   取り付けられた防矢ネット
 
 
安全指導等による事故防止策
 
 矢道右側通路は柔剣道場への通路となっているため、生徒が自由に行き来していたが、災害発生後、矢を射る際には通行禁止にし、見張りの部員を2名配置することにした。
 また、巻藁に対して1mくらいの距離から射手が矢を射る巻藁練習では、矢が弾けて顔に当たることがあり、部員数に対して練習場所が狭いため、人通りに十分注意し、2m以内に近づかないよう指導している。
 
   巻藁
 

取材を終えて
  災害発生当時の顧問教諭は弓道の指導歴30年以上の方だったそうですが、「通常では考えられない事故が起きてしまった。」と話していたとのことです。通常では矢が当たることのない場所の、わずかな隙間が災害発生の原因となってしまったことから、想定外の事態も考えた事故防止対策の必要性について考えさせられました。
 
 障害見舞金給付事例
  巻藁練習時の安全指導の取組をご紹介しましたが、平成17年度から平成27年度までに障害見舞金を給付した4,849件のうち、弓道部活動中に発生した災害によるものが6件あり、そのうち3件が巻藁練習中の災害によるものでした。参考までに事故の事例を掲載します。
(出典:「学校安全Web」学校事故事例データベース
 
 事例1
高等学校  1年    男子 
 弓道場横の巻きわら練習場で、ゴム弓を使って練習中、プラスティック製の柄の部分が右目に当たり、出血した。
 
 事例2
高等学校  1年    女子 
 約3m前方の巻き藁の的に矢を射る練習をしていた時、弦に矢の端の部品が残り、筒棒の部分が約5m前方の弓道部室の鉄枠に当たって跳ね返り、本生徒の右眼部に当たって落下し、右眼を負傷した。
 
 事例3
中学校  2年    男子 
 弓道部の練習で、巻藁に向かって弓を打ったところ、巻藁に当たらず体育館の壁に当たって跳ね返り、本生徒の左眼を直撃した。

 

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