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大阪かわら版 第71号(2016.03)

自分がみんなを守る! ~救命救急講習会を通じて~
 

いざという時・・・・あなたは? 

 日本では、毎年約12万人の方々が心肺停止で救急搬送されており(総務省消防庁HPより)、1日あたり300人強の方々が搬送されている計算になります。何となく、自分には関係のないこと・・・と捉えている人が多いのではないでしょうか。ですが、1日に300人・・・自分が、またはその現場に遭遇する確率はそう低くないように思います。

 日本で医療従事者以外の方が講習受講後にAED(自動体外式除細動器)を使うことができるようになったのが2004年。現在では、学校・駅・公共施設など様々なところにAEDが設置されていますが、いざという時、あなたは使うことができるでしょうか?目の前で 人が倒れた時・・・あなたは対応できますか?

 近畿地方のある小学校で、人工呼吸やAEDの使用方法を授業として取り入れていると聞き、取材に行ってきました。     

いざ、体験!

 この学校では、毎年、PTAと協力して、4年生を対象に救命救急講習会を開催しています。4年の社会科で「消防」について学習の中で、実際に消防署を見学し、その活動について学んでおり、今回の救命救急講習会も、消防署の人命を守る活動の一環だということは、授業の中で触れています。当日は消防署から10名の方に来ていただき、講習会が始まりました。
 
<4年生と保護者、併せて約130名が参加>
 目の前で人が倒れた際に、救急車が到着するまでの行動ということで、心肺蘇生法やAEDの使い方について、10人程度のグループに分かれて消防署員の方より説明を受けました。子ども達は、目の前の訓練人形に興味津々でしたが、説明が始まると真剣に耳を傾けていました。
<グループに分かれて、
消防署員から説明を聞く様子>

みなさん、熱心に聞いています。

消防署員の問いかけに対して、
自発的に挙手をする子ども達
>  
「やってみたい人?」「はい!はい!はい!」
 
 消防署員の方も、一方的な説明ではなく、子ども達に質問して考えさせたり、また子ども達からの質問に答えながら説明されていました。消防署員の方によって、子ども達へのアプローチの仕方が違い、真剣に伝える場面があったり、子ども達に関心を持ってもらうような雰囲気を作ったりと、とても微笑ましい光景でした。​
 
手に体重を乗せて・・・
  呼吸の確認の次は、胸骨圧迫。手をクロスして、肘はまっすぐに30回、全体重をかけて力強く押さないといけません。1秒に1回よりも若干早いスピードでの30回、これは実際にやってみると大人でも結構しんどいのです。子ども達も終わった後「疲れた~」「これは大変・・・」と口々に言っていました。
 そう、人を助けることは大変なことなのです。実際はこの動作をAEDが到着するまで行い、到着した後も必要に応じて行わなければなりません。実際に体験することにより、自分一人では大変なことがわかり、大人や他の人を呼ぶ必要性をより感じることができたのではないでしょうか。 AEDの使い方は、非常に簡単で子ども達もあっという間に覚えてしまいました。操作については、年々簡単になってきているようです。自発呼吸の有無の判断に迷ったら、心肺蘇生を開始して、AEDを装着したら、機械の指示に従うようにとの説明がありました。 <胸骨圧迫トレーニング用の装置>
 
 【子ども達から出た質問】
Q:体が濡れている時は、AEDは使用できるのか?

A:安全なところに移動し、タオルなどで拭いてから、胸骨圧迫、AEDを実施する。

Q:AEDがケースに入って置いてあるのは知っているが、どうしたらいいのかわからない。

A:ケースを開けたら大きな音が鳴るが、他の人にも緊急事態であることをわかってもらうために

鳴るので、びっくりせずにAEDを持って現場に向かうこと。

Q:近くにAEDがなかったらどうしたらよいか?

A:まずは大人の人に知らせる。救急車は7分ぐらいで到着するので、その間休むことなく胸骨

圧迫と人工呼吸をする。
  【消防署員さんよりポイント】       


★心肺蘇生の方法が分からなくても、119番通報の際に、電話を通じて指示を受ける
ことができます。

★心肺蘇生の中でも、胸骨圧迫は「強く」 「早く」 「たえまなく」行ってください。

勇気を持って行うことが大事です。


 

 この学校では以前、教育活動中にAEDを使わなければならないことがありましたが、毎年訓練を続けてきたことが功を奏して、一つの命を助けることができました。

 指導上、特に問題がない状況であっても、事故は突然起こることがあります。その時に、連携して動ける体制や心肺蘇生法の研修で知識や技術を身につけておくことは、とても大切なことだと感じました。

災害後、さまざまな変化が・・・

《意識》    

  AEDを使う状況に遭遇し、この時改めて「実際に身の回りで起こりうること」という認識が深まり、訓練もより真剣に取組むようになり、更に消防署で3日間の講習を受けて、心肺蘇生の指導者の資格を取った先生もおられるそうです。また、無事に子どもの命を助けることができたことは、教職員の自信に繋がり、当時のことは教訓として残っているそうです。

 総合型地域スポーツクラブ主催の夏休みのプール開放についても、様々な議論はありましたが、教職員・PTA皆で力を合わせて  開催していこうということになりました。この機会を通じて、学校はPTAや地域の方々と改めて学校安全について、深い話ができたそうです。

 

【講習会後の子ども達の感想を聞いてみると・・・】 
 

・倒れている人がいたら、積極的に助けようと思った。

・こわいけど、勇気をもってやることが大切だと分かった。

・他の人にも伝えたい。

・大人を呼ぶことが大切だと思った。
 
《設備・制度》
  1. AEDの増設

    保健室の前に1つしかなかったAEDが、体育館にも設置されるようになり、水泳指導・体育会・マラソン大会等、大きな体育的行事には、必ずAEDを携帯するようになりました。

  2. 小学校4年時での心臓検診の導入

    小学校1年・中学校1年・高校1年時の心臓検診は学校保健安全法で義務付けられていますが、平成27年度から4年時での心臓検診が導入されました。

 


AEDの操作はとても簡単です。しかし知識や技術よりも大事なのは、「一歩踏み出す勇気」。いざという時、「自分がみんなを助けるんだ」という気持ちで行動にうつすことができるかどうか・・・案外、大人よりも子どものほうが本能的に動けるのかもしれません。

 

 家族や友達が倒れた時・・・大人が来るまでに、バイスタンダー(側にいる人)である子ども達が迅速な初期対応できれば、その後の運命は大きく変わってきます。

 今回の講習のような動きが全国に拡がり、いざという時に子ども達も動ける体制が整うように、日本スポーツ振興センターもサポートしていきたいと思います。

平成27年度教材カード 8月号と2月号では、心肺蘇生やAEDについて取り上げています。

ぜひご活用ください!

教材カード:http://www.jpnsport.go.jp/anzen/anzen_school/card/tabid/519/Default.aspx

<平成278月号>         <平成28年2月号>
 

                       

 

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