ホーム > 地域だより > 広島地域 > 広島もみじ通信 第53号(2014.4)

広島もみじ通信 第53号(2014.4)

 ヒューマンフェスタひろしま実践発表会  
         「1人1人の命を大切に
      ~いじめ防止・撲滅~」の取組紹介
 学級会のイラスト
 昨今、いじめが原因で自ら命を絶つ痛ましいニュースが続いています。
 そのような痛ましい事件を受けて、2013年9月にいじめへの対応と防止について、学校や行政の責務等を規定した「いじめ防止対策推進法」が施行されました。
 そのような中、2013年12月広島市内において人権啓発フェスティバル(ヒューマンフェスタ2013ひろしま)が開催され、そのプログラムの1つとして、いじめ防止・撲滅をテーマに県内小、中、高等学校の代表3校による取組の実践発表会が行われました。(内1校は、いじめの実態、その解決していく様を創作劇として披露)
 そこで、このたび、実践発表会はもちろん、各実践発表校にも伺ってお話を聞いてきましたので、これから“ヒューマンフェスタ2013ひろしま~いじめ防止・撲滅~の取組紹介”として3回にわたりその取組内容をご紹介していきます。  
 実践発表のプログラム  実践発表会の様子
   第1弾,『「一人一人の命を大切にし、一人一人の人権を守る」学校を目指して!』
                           ~広島県安芸郡熊野町立熊野第三小学校~
 
   学校概要 :児童数約300人、教職員数23人
 教育目標 :仲間を大切にし、すすんで学び、たくましく生きる子どもの育成 
 熊野第三小学校 校舎風景
 地域紹介:
熊野町は広島県西部に位置しており、人口2万4千人余り、町内には小学校4校、中学校2校があります。女子サッカーW杯で優勝した「なでしこジャパン」が国民栄誉賞の記念品に贈られて注目を浴びた「熊野筆」の産地としても有名。児童のイラスト

◆「縦割り班活動」の活用

 実践発表のテーマが「いじめ防止・撲滅」となっているが、特にいじめ撲滅を目標において特別なことをしているわけではなく、学校で子どもたちを教育する中で、「子どもたちの豊かな心を育てる」という大きな目標に向かって日々教育活動を実践しているとのことです。
 昔は、学校から帰れば、年齢の違う子ども同士で遊べる環境があり、その環境の中での交流を通して、それぞれの立場で相手の気持ちを考え、理解できるようになり、『人と関わる力・心』を育てることができました。
 しかし、今はそのような環境が少なくなってきたことから、学校生活の中で意図的に年齢の違う児童間の集団活動(=「縦割り班活動」)を行うことにしました。普段はリーダーとして活躍する場面が少ない児童も、縦割り班のリーダーとして活躍する場面が増えます。その場面で下級生の思いを聞いたり、一緒に遊んだりすることで相手を思いやる心が育っていきます。一方でそんな上級生のリーダーの姿を見ながら、下級生は次第に年上への憧れや、尊敬の思いが育っていきます。このような活動を継続し、『人と関わる力・心』を育てることが、いじめの起こらない環境につながると考え、様々な学校生活の場面に「縦割り班活動」を取り入れています。

◆学校生活に取り入れたこと

 その1「VS朝会」
 毎月1回,朝の短い朝会の時間を活用し、「共に働いたり、互いに関わったりする活動を通じて他の学年の友だちとの交流を大切にする」、「協力することの大切さを学ぶ」、「高学年としての自覚や責任感をもつ」等のねらいで、「縦割り班」で実施しています。
 「VS」のVはボランタリー、Sはサービスです。10年ほど前から「JRC=青少年赤十字」協力校として続けている活動で、どうしたら学校のためになるか、みんなのためになるかを考え、気づき、実行することを目標に実施しています。1年生が楽しく学校生活に慣れるにはどうすればいいのかを考え、「1年生を迎える会」で渡すペンダントを、協力して作る活動や、「石拾い」や「落ち葉拾い」などさまざまな活動をします。班長・高学年を中心に役割分担等を話し合い、協力し合い,楽しみながら実施します。また、活動後には活動内容を振返り、協力できたか、がんばったかなどを確認しあうことも行っています。そうすることで、お互いに関わりを深めることができて、段々お互いも仲良くもなり、奉仕の精神も育てることになります。  
 ペンダント作り  一年生を迎える会
 その2「縦割り昼食会・縦割り遊び」
 月に1度「縦割り班」で集まり給食を一緒に食べます。給食時間の中で6年生が中心になって、給食後の昼休憩に何をやって過ごすか、遊ぶかを話し合います。普段とは違った友達と食べたり遊んだりすることで、人との関わり・つながりが育っていきます。  
 縦割り遊びと縦割り昼食会
 その3「地域の方との交流」
 3、4年生は年に数回、地域の高齢者の方との交流会を行っています。そこで何をしたら喜んでもらえるか、楽しい時間が過ごせるかなどを考え、一緒に料理をしたり、楽器の演奏、ゲームをしたりして過ごします。企画を考え、一緒に過ごす中で,子どもたち同士の仲も深まり、また、高齢者の方からも色々なことを教えてもらうことで、学校では学べないことが経験できます。 
 地域の方との交流風景
 その4「人権コーナー」
 各学年、クラスごとに教室の一角に「人権コーナー」という場所を作っています。そこには、一人一人の良いところ、みんなで協力したこと、頑張っていること等をホームルーム時に伝え、それを短冊に書いて掲示します。そうすることで、良かった点等が目で見える形となり、言葉として残るようになるため、お互いを認め合い、何度も振り返ることができます。 
 3の1の花さき山の短冊  がんばりのきの短冊
 その5「あいさつニコニコ運動」
 児童会活動の組織に「運営委員会」があり、その活動の1つとして、「あいさつニコニコ運動」を行っています。朝、交代で数人が校門の前に立ち、金曜日には当番のクラスと一緒になって登校してくる人にあいさつをするというものです。この活動を続けていくことで、あいさつが返ってくるとうれしい気持ちになるし、その声が少しずつ増えていき、校門の前から学校がにぎやかになり、楽しい気持ちにもなっていき、みんなとのつながりも増していきます。  
 あいさつにこにこ運動の様子
取材を終えて
 実践発表後に行われた大学の先生による講評の中で、「いじめは当たり前の日常で起こる。しかし、「縦割り班活動」を取り入れることで人権感覚を養うことができる。この活動を打ち上げ花火的に単発で行ったのではその効果は難しい。細く長く,コツコツと継続することに意味があり、JSC犬イラスト結果それがいじめ防止につながる環境が生まれる。」と言われました。
 こうした縦割り班活動等を取入れ、「一人一人を大切にする」、「人との関わり・つながり」を大切にしながら活動を継続していくことで、学校にいても、地域に帰っても、相手のことを思い、考え、お互いが認め合える心を持った子どもたちが育っていき、いじめの起こらない 環境につながることを期待します。 

 

ページトップへ