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第28回 学校の管理下の事故における心肺蘇生について

 学校の管理下では毎年100万件以上の災害が発生しており、当センターは災害共済給付への請求を通じて、その膨大な事故情報を保有しています。
 福岡事務所ではこれまでの事故事例の中から、その災害発生状況と事故後の取り組みを紹介することで、事故防止に役立てていただきたいと考えています。
 今回は意識消失、心停止後心肺蘇生に成功した事例を紹介いたします。
 災害発生状況
○高等学校3年生 男子
○災害発生場所  体育館のバスケットボールコート内
○災害発生時    金曜日 16時からの部活動(バスケットボール部)
★30分程度のアップのあと練習試合(10分間)に参加した。試合中はコート内を動き回っており相当の運動量があった。試合終了のブザーと同時に2、3歩歩いてコート内でうつ伏せに倒れた。
※これまで、部活動中に倒れて意識を失うようなことはなかった。
災害発生時の管理体制 
○AEDは事務室の前に1台設置されていた。
○心肺蘇生・AED講習会については、教職員に対して年1回消防署員を招いて行っている。
○生徒は、高校1年次に保健の授業(座学)で心肺蘇生法の勉強をしている。
○被災生徒は要観察の生徒ではなかったが、既往症のある生徒など、要観察の生徒については教職員間で情報を共有し、不慮の事態に備えていた。
災害発生時の対処
○顧問の指示により、生徒2人が職員室に知らせに走り、教職員に事故の状況を伝え、保護者にも連絡を入れた。
○その場に居合わせた生徒が、すぐに携帯電話で救急車を呼んだ。
★事故の知らせを受けて養護教諭が駆けつけた時には、すでに生徒が気道確保、胸骨圧迫を行っていた。その生徒は、個人的に数日前に、消防署で心肺蘇生の実技講習を受講していたとのこと。
○養護教諭が生徒にAEDを持ってくるように指示した。
○その後、学校長のところに来客中だった医師がすぐに駆けつけ、AEDを生徒が持ってくるまでの間本格的な心肺蘇生が継続された。
★AEDを取りに行った生徒は全速力で走り、途中他の生徒にパスするなど連携して運んだ。体育館から事務室までの距離はおよそ200m、所要時間は約1、2分だったと思われる。
○養護教諭、教員によってAEDを施行、1回作動した。2回目の解析を待っているところで救急車が到着した。 
災害発生後の状況 
○後日、校長が3年生の生徒に対して、「皆さん方が行ってくれた心肺蘇生、周囲の協力、連携により命を救うことができた」ことを報告し、「生徒の迅速かつ、勇敢な行動により、命の尊さを再確認する事ができたことと、一人ひとりの大事な命を失うことなく今日という日をむかえられたことに感謝する。」と伝えた。
災害発生後の学校安全に対する取り組み 
○設備上の改善点としては、AEDをもう1台体育館に増やし、計2台設置とした。
○今回は事務室前のAEDを使用したが、体育館から事務室は少し離れているため、その分取りに行く時間を要することとなった。体育館のすぐ隣が小学校で、そちらに設置されているAEDの方がより近かったが、教職員の間で小学校のAEDを使用してよいという認識がなかった。この事故を契機に、敷地内のAEDはどれも使用できるということを教職員に周知した。今後、生徒にも周知していく予定である。
○事故現場に居合わせた生徒へは、スクールカウンセラーへの相談もできる旨、養護教諭からの案内を顧問が伝えたが、相談した生徒はいなかった。
取材を終えて
 今回のような災害は事故発生から胸骨圧迫等の対処を行うまでの時間が非常に重要です。迅速に対処できるよう、事前に、事故が発生した場合の対応について共通理解をしておくこと、またAEDや心肺蘇生の講習を受けておくことが必要であると思いました。
 なお、センターの刊行物である「学校における突然死予防必携」にも、胸骨圧迫等の応急処置の方法等を掲載しておりますので、こちらもぜひご参照ください。  
平成24年度給付対象事例(障害) 
○中3年・男子 運動会・体育祭 短距離走 精神・神経障害
 数日前から特に体調不良を訴えている様子はなかった。体育祭当日、朝から登校していたが、午前中は開会式から参加せず、クラスの応援席にも行かなかった。昼食をはさみ、午後からはクラス対抗の全員リレーに第一走者として参加、100mを走り1着でゴールした後、クラスの列にもどり倒れこんだ。その際、教員が声をかけたが、頷く等の様子があった。しかし、少したっても起き上がらないので他の教員に連絡した。その時、意識がなく、心肺停止状態になっていた。すぐに、人工呼吸、AEDを行い病院に搬送。その後、埋め込み型除細動器移植を行った。

【参考】学校事故事例検索データベース

 

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